第22話 マサムネ初陣!対サゲツサイ
~マサムネ陣内~
軍を率いてサゲツサイの領内に入ったマサムネはサゲツサイの館のある町から5キロほど離れたところに陣取った。そこで軍議を開いた。
マサムネ『さて、サゲツサイの陣容を聞こうか。』
トウキチロウ『はっ。サゲツサイ様は館周りは強化してはいるものの、町外の防御はあまり強化されておりません。籠城には無理かと。』
マサムネ『つまり野戦を仕掛けてくる。と言うことだな。』
トウキチロウ『はっ。そのように見受けられました。』
マサムネ『ふむ。分かった。ご苦労だったな、トウキチロウ。』
トウキチロウ『はっ。』
マサムネ『さて、野戦にサゲツサイが出てくるならばどう戦う?』
カツイエ『殿の前に立ちはだかるならばったばったと切り捨ててやりますぜ!』
マサムネ『バカ者、猪突猛進の用につっこんでどうする。もう少し考えろ。
カツイエ『へぇ。』
マサムネ『特にカツイエ、シゲザネ、トウキチロウはいずれは我が軍の支柱になってもらわねば困るのだ。何時までも猪武者では困るぞ。』
カツイエ『はい。』
マサムネ『さて、ほかに意見はないか?』
トウキチロウ『某が。』
マサムネ『ふむ。もうしてみよ。』
トウキチロウ『サゲツサイ様の軍勢は我が軍より少数とはいえ、昔からサゲツサイ様に付き従っていた一騎当千の強者ばかりでしょう。まともにぶつかるのは、こちらの被害が大きいだけだと思います。ここは別働隊を編成し敵本拠地を急襲してはいかがでしょう?』
マサムネ『まともにやると勝てないと?』
トウキチロウ『勝てないとは申しませぬが……。』
マサムネ『ふむ。ほかに意見は?』
一同『『『……。』』』
マサムネ『無いようだな。俺もトウキチロウの作戦に賛成だ。その案で行こう。カツイエ、シゲザネ、コジュウロウは300人を率いてサゲツサイの軍を打て。』
カツイエ、シゲザネ、コジュウロウ『『『はっ。』』』
マサムネ『俺とトウキチロウでサゲツサイの館を急襲する。』
トウキチロウ『承知。』
マサムネ『作戦は決まった。後は実行に移すのみだ!いくぞ!』
~コジュウロウ側~
さらに先に進むと遂にサゲツサイの軍勢と出くわした。
兵士『申し上げます!前方にサゲツサイ軍を確認!その数凡そ300!』
コジュウロウ『やはり全軍出したか……。皆!日頃の訓練の成果を見せるのは今だ!行くぞ!』
全員『『『おおー!』』』
兵士『サゲツサイ様前方に敵軍が現れました。』
サゲツサイ『……きたか。数は?』
兵士『およそ、300。我々と同数かと。』
サゲツサイ『我が鍛えし精鋭よ!今こそその成果を見せるときぞ!いくぞお!』
兵士『『『おおー!』』』
遂に両軍が激突した。どちらも鍛えた精鋭だけあって力はほぼ互角。拮抗しているように見えた。しかし……。サゲツサイ軍が経験の差で徐々にマサムネ軍を押し始めていた。
コジュウロウ『まずいな。経験の差がここまでとは……。』
サゲツサイ『我が軍が優勢だな。一気に畳みかけるぞ!』
サゲツサイは今が勝機とみるや一気に畳みかけてきた。
兵士『コジュウロウ様、持ちこたえ切れません!ここは一時退却を。出直しましょう!』
コジュウロウ『今少し耐えてくれ。必ず勝機は訪れる!』
兵士『はい……。』
サゲツサイ『我々の勝ちだ!』
サゲツサイがそう確信したその時。
兵士『も、申しあげます。大変でございます!』
サゲツサイ『いかが致した?』
兵士『別働隊が本拠地を急襲!本拠地が危のうございます!』
サゲツサイ『何!マサムネ様は別働隊を出していたのか…。よしっ全軍に退却の銅鑼を鳴らせ!』
ジャーン!ジャーン!ジャーン!
戦場に退却の銅鑼が響き渡る。それを聞いたサゲツサイ軍は一斉に引き始める。
コジュウロウ『敵軍が引き始めた!追撃だ!敵を殲滅するぞ!』
3人が率いる軍が追撃をかける!
押されていたマサムネ軍が息を吹き返しサゲツサイ軍を圧倒し始めた。
何とか追撃を振り払い本拠地まで後少しという所で別働隊に出くわした。
サゲツサイ『む、あれは?』
そこには本拠地を落としてサゲツサイ軍の退路を断った、マサムネ軍の姿があった。
サゲツサイ『退路を断たれたか……。皆もの退路は断たれた…。こうなれば最後の一人まで戦うまでだ!行くぞ!』
マサムネ『サゲツサイ……。敵はコジュウロウ達との戦いで疲れているはずだ!一気に決めるぞ!かかれ!』
両軍は激突。傷つき疲れているサゲツサイ軍と未だ無傷のマサムネ率いる別働隊では勝負にならなかった。また背後からコジュウロウ達も追いつきサゲツサイ軍に迫った。
奮戦していたサゲツサイ軍だったが徐々に追い込まれ近くの小高い山に逃げ込んだ。
サゲツサイ『残っている兵の数は?』
兵士『20人に満たないかと……。』
サゲツサイ『そうか。』
?『父上。』
サゲツサイ『ツナモトか。』
ツナモト『最後の戦いを挑みましょう!座して死を待つより、戦って死に当ございます。』
サゲツサイ『……ツナモト。お主はマサムネ様に仕えよ。』
ツナモト『私にマサムネ様に降れと申されますか。』
サゲツサイ『おまえはまだ若い。それにおまえには儂に劣らぬ才が有る。その才でマサムネを支えてくれ。』
ツナモト『父上……。』
兵士『申し上げます。』
サゲツサイ『何事か。』
兵士『マサムネ軍より軍使が参っております。』
サゲツサイ『分かった。会おう。』
軍使はサゲツサイの元に通された。
サゲツサイ『ご使いご苦労。何かな?』
トウキチロウ『マサムネ様はサゲツサイ様との会談を望まれております。』
サゲツサイ『そうか。分かった。お会いしよう。そちらに伺う故しばし待たれよ。』
トウキチロウ『はっ。』
サゲツサイは準備を整え、マサムネの陣中へと向かった。
~マサムネ本陣~
陣中でマサムネとサゲツサイの2人は会合した。
マサムネ『サゲツサイ……。』
サゲツサイ『……。わはっはっは。嫌マサムネ様は強い軍を作られましたな。このサゲツサイ完敗ですぞ。』
マサムネ『俺に降ってくれ。』
サゲツサイ『儂にもかかわらず意地が有ります。負けたからといってそう易々とは降りませぬ。』
マサムネ『そうか。もう一つ聞きたい。なぜ謀反を?』
サゲツサイ『……。国の為でござる。今回の仕儀儂が領地へ帰った直後の事で御座りました。突然某の謀反の噂が流れたのは…。』
マサムネ『何か心当たりはないか?』
サゲツサイ『トダ御前様に跡取りはマサムネ様が相応しいと進言したのですが……。』
マサムネ『義母に……。そうか。サゲツサイよお前は俺に討たれる事で……。』
サゲツサイ『……。まだ勝負は着いておりませぬ。』
マサムネ『そうだな。』
サゲツサイ『そうだこの者をお使いください。私の倅ツナモトです。私に負けず劣らずの武勇の持ち主。きっとやくにたつはず。』
ツナモト『……。』
マサムネ『分かった。配下として受け入れよう。』
サゲツサイ『……。では私はこれで……。マサムネ様必ず天下をお取りくだされ。』
サゲツサイはマサムネ軍を去っていった。そして翌日大乱戦となった最後の戦いはサゲツサイの切腹によって終わりを告げた……。