第19話 サゲツサイのマサムネ批評②
マサムネの練兵の高さを見たサゲツサイはこれを高く評価し、マサムネがまだ新米ながら兵士達が精鋭に育っているのを確認した。また、将兵達からの信任も厚く早々崩れるものでは無い絆が生まれていた。
次の日はマサムネの内政手腕を見ることにした。住民からとる税金安くしたり、農業したくても土地を持たないものに土地と道具を貸し与えたり、商業は市場を許可制にして、市場の場所代などは取らず税金だけを納める形を取り活性化させたりなど。目を見張る政策をとった。
サゲツサイ『内政も見事ですな。どれも目を見張るものがある。』
マサムネ『恐れ入る。全てそこのハンベエの働きにて。』
ハンベエ『私は助言したまででこざいます。全てはマサムネ様の判断によるもの。』
サゲツサイ『助言を聞き入れ、決断を下す主人と、物怖じせず主人に提言する家臣。実に見事。』
ハンベエ『恐れ入ります。』
家臣『マサムネ様。』
マサムネ『何事か。』
家臣『また山賊共が現れたようです。旅商人から山賊の被害が出ております。』
マサムネ『やれやれ。またか。分かった。直ぐに対処する故、商人に会いに行こう。』
家臣『はっ。』
商人『マサムネ様~。』
マサムネ『山賊に出会ったそうだな。』
商人『はい。』
マサムネ『どのあたりだ?』
商人『ここから北に伸びる街道です。』
マサムネ『分かった。』
マサムネ『コジュウロウ!』
コジュウロウ『はっ。』
マサムネ『山賊討伐にでる。出陣の準備を。』
コジュウロウ『分かりました。』
半日もせず軍勢を整えたマサムネは北の街道へと向かった。
北の街道入り口
陣容は前衛にシゲザネ、カツイエ率いる40人。中軍にマサムネ、コジュウロウ、サゲツサイ率いる40人。そして商人の輸送隊に扮したトウキチロウ率いる20人合わせて100人の部隊だ。ワタリにはハンベエを残した。
程なくして北の街道の入り口へとたどり着く。
マサムネ『トウキチロウ!』
トウキチロウ『はっ!』
マサムネ『お主は商人の輸送部隊に扮して街道を進め。山賊が現れたなら一度逃げたフリをし、を身を潜めろ。そして奴らのアジトを探れ。必ず近くにあるはずだ。』
トウキチロウ『はっ。』
マサムネ『カツイエ、シゲザネ!』
カツイエ・シゲザネ『はっ!』
マサムネ『お主たちには先鋒を任す。存分に暴れて生け捕りにしろ。殺すなよ。そして深追いはするな。アジトまで案内させる。』
カツイエ・シゲザネ『はいっ!』
マサムネ『では山賊討伐を開始する!』
トウキチロウ率いる輸送部隊は街道を進み山あいに差し掛かっていた。
トウキチロウ『そろそろでるぞ気をつけろ。』
山賊『おうおう。そこの商人さんよ怪我したくなきゃ、荷物をおいてってもらおうか。』
トウキチロウ『でたな!山賊め!誰が荷物を渡すものか!』
山賊『威勢がいいな。野郎共!こいつらに痛い目見せてやりな!』
トウキチロウ『ざっと200人程か。ひ、ひええ。命ばかりはお助けを~。』
山賊『じゃあ、渡すんだな?』
トウキチロウ『荷物はご自由にどうぞ~。』
山賊『じゃあさっさと消えな!』
トウキチロウ『は、はい~!』
トウキチロウ達輸送部隊は霧散した。
山賊『へっへっ。こいつはたんまりだぜ!アジトに持って帰り祝杯だぁ~!』
山賊『『『おおー!』』』
カツイエ『そうは行かないぜ?』
山賊『なにもんだ!てめぇ!』
カツイエ『賊に名乗る名前なんてねぇよ。荷を返してもらおうか。』
山賊『ふっ。誰がおまえなどに!皆やっちまえ!』
山賊『『『うぉぉっ!』』』
カツイエ痛い目を見ないとわからんか。かかれー!』
伏せていたシゲザネたちが飛びだす。
あっといい間に大乱戦となったがカツイエ・シゲザネが率いる部隊が押し始めた。
山賊『たった40人位なのに、クソっ何でこんなに強いんだよ!ちっ仕方ねぇ!引くぞ!』
その頃マサムネ本陣
マサムネ『そうかアジトを見つけたか。』
忍『はっこれより山を登った中腹辺りにあります。』
マサムネ『御苦労。よし我らはアジトに急行するぞ!』
忍びの案内で程なくアジトを見つけたマサムネは直ちに占拠。それを同じくしてカツイエ達にコテンパンにされた山賊も帰ってきた。
山賊『あ、あんなの勝てる訳ねぇ。ん?なんだありゃ?』
マサムネ『お前達のアジトはすでに占拠しているぞ!このマサムネに早々くだれ!』
山賊『ま、まさか俺達が相手にしていたのは、マサムネ軍だったのか…。勝てるわけがねぇ…。降参だ!どうにでも好きにしやがれ!』
こうして山賊達一人残らず捕まり、マサムネの前に締め出された。
山賊『俺達をどうするつもりだ?』
マサムネ『決まりに沿うと、打ち首だが。』
山賊『……。』
マサムネ『ある条件をのむなら打ち首は勘弁してやろう。』
山賊『本当か?』
マサムネ『ああ。条件と言うのは俺の配下になれ。それだけだ。』
山賊『本当にそれだけでいいのか?』
マサムネ『ああ。お前達は山に強い。何かに特化した部隊が必要なのでな。どうだ?』
山賊『命が助かるなら何でもしまさぁ。』
マサムネ『契約成立だな。よしっ!ワタリに戻るぞ。』
こうしてマサムネは山賊達を引き入れ、軍を強化した。
そしてサゲツサイがタダスケの元に戻る日がやってきた。
サゲツサイ『お世話になりもうした。』
マサムネ『マサムネはお眼鏡にかないましたかな?』
サゲツサイ『いやはや時期当主としての才覚は十分といえると思います。殿にはそう伝えましょう。』
マサムネ『そうか。』
サゲツサイ『では私はこれで……。』
マサムネ『サゲツサイ殿、嫌サゲツサイ!』
マサムネは大声で引き留めた。
サゲツサイ『?』
サゲツサイが振り向くと、マサムネは
マサムネ『余の配下にならんか?』
サゲツサイ『有り難きお言葉。しかし私はあなたの父タダスケ様に忠誠誓った身。』
マサムネ『そうか。そうだったな。また近いうちに食事をともにしよう。』
サゲツサイ『食事は喜んで。では遅くなる故これにて。
マサムネ『道中気をつけて。』
サゲツサイは満足な顔でワタリを後にするのだった。