第12話 マサムネ元服
父上から呼び出しを受けたマサムネは館に戻った。館は純和風の総畳で、完全の木造建築。玄関先には枯山水を模した綺麗な庭。まさに和風建築って感じの建物だった。
館にはいると父上のいる奥の間に通される。奥の間には上座が少し高くなっており、そこに中央からの使者が座り上からの言葉を伝えたり、色々な儀式や祭事を行う事もできるようになっている。
そんな上座に父上と母上が座り俺を待っている。
下座に座り二人に挨拶をする。
マサムネ『お呼びによりマサムネまかりこしました。』
タダスケ『お前を呼んだのは他でもない、元服の儀についてじゃ。お前も十になる。よき日を選び元服の儀を行おうと思うがどうじゃ?』
マサムネ『はっ。ありがたき幸せ。』
この国の大人になるのは早い。生まれて十年で大人の仲間入りをする。他国では、十になると神託の儀式を受けるという。それに習ってということらしい。
タダスケ『では、吉日を選び執り行うとしよう。』
マサムネ『ありがとうございます。』
タダスケ『お前は表向きは嫡男じゃが、今マサタカがおる。今はまだ姫として生きる道もあるのじゃぞ?』
マサムネ『父上、その件はお断りしたはずですが?』
タダスケ『そうじゃったの。しかし今一度考えてくれ。』
マサムネ『……。』
母『マサムネ、父上は貴方のことを思って言っておることを忘れないでたも。』
マサムネ『……。は…。では私はこれで。』
タダスケ『うむ。大儀であった。』
こうして俺は父上のもとを去った。
マサムネ『母上も心にも思ってないことを……。』
今の母上は本当の母上ではない。俺を生んでくれた母上は俺が2才の時に病気で死んでしまった。その後釜に座ったのが今の母上だ。その後に弟のマサタカが産まれた。父上は分からないが母上は実の子供のマサタカに跡を継がせたいのだろう。
これが後にお家を揺るがす大問題にまで発展するのだがそれはまだ先のお話。
~数日後~
大広間にてこの俺マサムネの元服の儀が執り行われた。
髪をきれいに結い正装をして、元服の儀を迎える。近くの女神神社から神主がきて、天才を伝える儀式が執り行われる。
神主『マサムネ殿前へ。』
マサムネ『はっ!』
マサムネは呼ばれ神主の前にでる。
神主『これよりマサムネ殿の神託の詔を申し上げます。』
神主が俺にそう告げた瞬間目の前が真っ暗になった。
正……
マサムネ『?』
正さん……
今呼ばれたか?
マサムネ『今呼んだか?』
突然目の前が光り輝く。そしてそこには綺麗な女性が立っていた。
女神『ようやく会えましたね。』
正『貴方は…?』
女神『私はこの世界を創造した女神です。』
正『神様なのですか?』
女神『ええ。あなたの魂をこの世界に転生させたのも私です。』
正『じゃあ、俺を女として転生させたのもあなたか?』
女神『え、ええ。あれは地球の神がちゃんと伝えなかったのが悪いのです。』
俺『またあのじいさんか…。』
女神『どうせあなたに天才の事も伝えなかったんでしょう?』
正『……。』
女神『天才とはこの世界に生きるものすべてが持つ力の事です。人を引きつけたり、先見の明を持ってたりと様々です。貴方は十歳になったので天才を授かりそれを自由に使うことができます。』
正『なる程。あっちでいっていたのはその力の事か。』
女神『ではあなたに力を授けます。先ずは人を引きつけるもの。これは魅力とです。自然とあなたについてくる人が多くなります。次に先を見通す者。先のことを読める力です。その通りになるかはレベルが上がれば分かるはず。そして剣の道を志すもの。これは剣技に影響を及ぼします。最後に魔法の道を志すもの。魔法が使えるようになります。』
正『…。要望通りだな。』
女神『貴方が地球の神と約束した事は聞いております。』
正『そうか。』
女神『さて、そろそろ時間ですね。』
正『もう終わりか?』
女神『ええ。今度あえるのはあなたがこの世界で死を迎えたとき。それまで人生を楽しんでください。』
正『分かった。』
正の体が光に包まれる。
女神『ああ、一つ言い忘れてました。あなたの他にもう一人転生者がいます。あなたと同じ様に今日神託の儀式を受けました。いずれあなたと会うでしょう。』
正『なんだよそれ。』
女神『運命があなた達二人を出会わせます。それではよき人生を。』
正『ちょとまてぇ!』
再び光に包まれ元の空間に戻った。
神主『マサムネ殿?』
マサムネ『あ、ああすまん。』
神主『詔は下りました。』
マサムネ『ありがとう御座います。』
神主は立ち上がり部屋を出ていく。
タダスケ『これでマサムネの元服の儀を終える!』
一同『『『ハハーッ』』』
こうしてマサムネの元服の儀式が終わった。