表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/82

第19話〜提案〜

 ララお姉ちゃんの抜けた生徒会には、沈黙が流れている。

 無茶苦茶、気まずい。

 こんな雰囲気、長く続いて欲しくない。

 と、いうわけで提案してみた。

 「……守るところを分担したら?幸いみんな力は強いんだし、二人いればたいていの敵はなんとかなるでしょ。一番まずいのはこの学校の破壊なんだから、ここを重点を置いて守ったら?敵も高校生やガキばっかのところの方が襲いやすいでしょうし」

と、いうかもし私が『イノベート』ならそうする。

 私の提案に、意外とみんな乗ってくれた。

 「……一理ある。なら、俺とミリアで力のない柊、帝を護ろう」

 ――そういえば、ミリアお姉ちゃんがいないのは、どうしてだろう?こういう時に『未来視』は役立ちそうなのに。

 「うん。じゃあ、僕とトレース、サラの三人で街を守ろう。広い街を守るには、君たち二人の力がいる。……いいかい、サラ?」

 「へ?あ、うんそれでいいわよ。全然。うん、まったく問題ないわよ。なぜトレースとかいうやつと一緒なのかは知らないけど、なんにも問題はないわよ」

 少し怒ったように、お母さんが言った。……きっと、トレースのことを今まで知らなかったんだろう。生徒会の会長さん、それぐらいしか認識していなかったのだろう。……必死にお父さん達の関係を隠そうとしているお母さんが容易に思い浮かぶ。

 「じゃあ、私とコトリ、クレアで学校、かあ〜。きっついな〜。コトねえ、どう?」

 「……まともに戦えるのは、クレアとあなたぐらいね。私の能力は弱いから……戦力外と考えてもいいわよ?」

 コトリお姉ちゃんがおどけるように言った。そういえばコトリお姉ちゃんの能力ってなんだろう?

 「……まあ、私はこれで。戦いは嫌いなの」

 「え?コト姉、もう行くの?」

 「ええ。じゃあね」

 「ちょっと、コト姉!コト姉ってば!」

 リリーお姉ちゃんの制止の声も聞かずに出ていったコトリお姉ちゃんと、彼女を追いかけて出ていったリリーお姉ちゃん。

 「……フン、やつらコトの重大さが理解できていないのか?もっと綿密に策は練るべきだろうに」

 タクトお兄ちゃんが、軽蔑するような視線を二人が消えた扉に向ける。

 「……まあ、兎にも角にも、分担は決まった。あとは昼休み、もう一度集合だと、今出ていった彼女らに伝えてくれ。では、解散!」

 トレースの声と同時に、生徒会の会議は終了した。

 







 ……なんか、前途多難?















 「生徒会ですって!?」

 教室に帰って来たら、柊風羽(かざは)とその取り巻きたちに囲まれた。

 今教室に入ってくる者がいたら、私の席を中心にした人だかりが見えるだろう。

 何事か、と最初私は身構えたけど、その言葉を聞いて平静を取り戻す。

 「血相変えて何かと思ってたら、そのこと?別に、ただ生徒会に入っただけよ。トレースに誘われてね。今さっき生徒会役員を紹介してもらってたところよ」

 嘘は言ってないと思う。ただ言葉が足りないだけだ。でも、それがまずかったらしい。

 「うそでしょ!?ホントに『あの』生徒会に入らせてもらったのですか!?」

 何やらさっき以上に顔を赤くして私を問い詰めてきた。……いったい何?

 「『あの』って、『どの』?」

 こそあど言葉で訊かないで欲しい。該当するのがありすぎて迷うから。

 「『あの』校内一の美人美女が集まる、生徒会役員一人一人にファンクラブがある生徒会に、ですか!?」

 「え?」 

 ファ、ファンクラブ?

 そんなの、実際に存在するの?てか、全員?

 傍若無人、唯我独尊なトレースや、何考えてるのかさっぱりわからないタクトお兄ちゃんにも?

 「知らなかったのですか?生徒会長は別名『銀の薔薇ばら』!美しい白銀の髪、白銀の瞳、そして、薔薇を想わせるようなその性格!」

 ……誰のこと?『薔薇のトゲ』ならわかるけど、薔薇?……ごめん、理解できない。どんなに取り繕っても薔薇には見えない。

 「そして次に、『白髪の紳士』ルウ様!何と言ってもその優しさ!その優しさに惚れた女性は100を超えるとかなんとか……」

 うん、そこには同意。お父さん、見ず知らだった私を娘にするぐらい誰にでも優しいから。

 お母さんも、きっとそこに惚れ込んだんだろう。……なんか、聞いていると学校で『お父さん』って呼ばないほうがいい気がするんだけど……ま、いっか。

 「ああ、『赤髪の炎術士』、サラ様もいい御方です」

 え?私、この調子で家族全員の学校での評価聞かされるの?

 ……でも、みんな高評価だし、聞いていて悪い気はしない。……それに。













 家族が学校でどう思われているのか……とても興味がある。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ