第7話 Meets A Heroines…。(7)
教師生活3日目。4月10日。
部屋で洗濯物を干して、ベランダに出した。
???「あ、」
俺「うん?」
???「鈴木先生じゃん。ここに住んでんだ。」
俺「おう。」
???「あぁ、私の名前覚えてないか。」
俺「すまん。」
???「馬宮紗南だよ。」
俺「こんな早くに学校か。」
馬宮「まぁね。朝練もあるし。」
俺「そうか、気を付けるんだぞ。」
馬宮「はーい。でも先生も気を付けてね。」
俺「なんでだ?」
馬宮「ここ結構うちの生徒通るから。」
俺「わかった。」
最近は謝ってるか助言を受けることしかないな。
そろそろちゃんと覚えないと・・・。
鍵をかけて学校に向かう。路地裏で猫が鳴く声が聞こえた。
覗いてみるとうちの制服を着た生徒が餌をあげていた。
俺「猫か?」
???「はい。ここで捨てられているみたいなので・・・って鈴木先生?」
俺「あぁ、確か君は?」
???「香取です。香取結菜です。」
俺「そうだ。香取だ。」
香取「名前覚えてない噂はほんとだったのですね。」
俺「かたじけない。噂?」
香取「1組のクラスLINEです。軒先さんが言ってました。」
俺「あぁ、軒先が・・・。そろそろ学校行かないとな。」
香取「一緒に参りましょう。」
学校までの間色々と話しながら学校に向かった。
職員室に行くと、学級委員長になった渡部から生徒一人一人の情報が来た。
???「鈴木先生、なにみてらっしゃるのですか?」
俺「あー、うちのクラスの生徒が先生名前覚えられないならって作ってくれたみたいです。」
???「へぇー。すごいですね。私の名前は分かりますか?」
俺「さすがに教職員は分かります。中野春香先生。」
中野「せいかーい。じゃあ、これあげますね。」
なぜか、戦隊もののフィギュアを貰った。
自分のクラスに向かおうとしたら生徒が職員室に入ってきた。
???「鈴木先生、この鍵返しに来ました。」
俺「あ、おう。どこのカギだ?」
???「わたし、中居楓が所属する陸上部の部室のカギです。」
俺「陸上部か。あー中居。これ持ってくれ。」
中居「はーい。私の名前は知ってるんだ。もしかして私のこと好きなの?」
俺「さっきまで知らなかったがお前が教えてきたんだ。」
中居「なんだー。」
教室に入ると昨日よりも名前を覚えたメンバーが多くて安心した。
このペースで行けば今週中には名前覚えられるだろう。
伊藤先生が朝礼の時言っていたように「忘れられるもののキモチ」になって考えるようにしていかなければ教師失格ともいえるだろう。