第23話 Relay Of Love (3)
さて、中居はどこに行ってしまったのか・・・。
怒らせてしまったことに対しては謝らなければと・・・。
???「おぉ~。次郎じゃないか。」
久しぶりに呼ばれたその名前と声の感じですぐに誰だかはわかった。
しかし、この格好で会いたくはなかったが・・・。
俺「やぁ、誠二にいさん。」
この人は鈴木誠二。
俺の四個上で、第二分家の次男坊。
おおらかで昔から仲が悪い家同士ではあるが、
隠れて家に遊びに来ていたりもした。
誠二「いやぁ、先生になったとは聞いていたが、まさか、そんな恰好までしなきゃいけない学校に就職していたとはな。」
俺「違うよ。これは生徒たちが悪ふざけをして着せてきて・・・。」
誠二「へぇ。生徒から信用されてるってことじゃねえか。」
俺「それも違うよ。おそらくからかってるだけさ。現に、まじめにやっていた女の子を怒らせてしまったしね。」
誠二「ほんとに、どちらもそう思ってるか?」
最初言っている意味が分からなかった。
この人の理論は昔からわからなくて困っていたが、
今回の件については格段にわからなかった。
誠二「まずな。生徒たちは、本能的にこの人は怒る、怒らないを見極めることができるんだ。最初から怒る先生だってわかっていたらこんなことはしてこないんだ。そして、悪ふざけだったら同じ格好を自分たちもしようとはならないだろう。」
たしかにそうである。
今までも何度もこういうことはあった。
誠二「そして、その恰好を見て怒った子についてだがおそらくそれは次郎先生には一番応援してほしかったんだ。それなのに、ほかの子たちの考えを取り入れて自分抜きで遊んでいたように見えたんだ。ほいら、そういう子は案外近くにいるもんだ。もう一度来た道のあらゆる場所を探してみろよ・・・。」
といって、彼は後ろに振り返って歩き出した。
これはなんの差なのだろうか?
経験?余裕さ?いや、思いつくものすべてだろう・・・。
この人にはかないそうにはないのだ。
俺「誠二にいさん!」
誠二「ん?」
俺「ありがとう!俺も負けないから!!」
何をかっこつけてるのだろうか?
わからないけど・・・。何か必死だった・・・。
中居はどこに行ったのだろう?
そう思ったらすぐ近くにいた・・・。
俺「中居!!!」
中居「なに?」
俺「すまん。こんな格好だが俺と話してはくれないか?」
中居「別に先生と話すこともないよ。いまも。これからも。」
そういって、中居はどっかいこうとした。
しかし、俺はもう彼女を手放さないと誓ったばかりである。
俺「まて!!!!!」
びっくりするくらいすごい力で中居を引き留めた・・・。




