とある暇人達の呼び名会議
急いで書き出したから少しおかしいのは仕方ない、
あと皆様は教祖様の事を何と呼びますか?
地味に気になるのでコメントしてくれるとうれしいです。
「ーー教祖様の呼び名って多すぎないです?」
それは団員達も日々感じていた事、たまにどの呼び方で呼ぶかで殴り合いになっていることもあった。
それで暴力沙汰が続いた結果、人それぞれでいいよな、と落ち着いてきたところで入団したての新人団員が油をそそぎやかったのだ。
そりぁ、鎮静化していた火にかけられた油は盛大に燃え出した。
話し声が聞こえるだけだった教団本部は一気に鎮まり
狂信者が立ち上がった。
「くく、くくくくく、そうだよな多いよな」
そう言って立ち上がったのは狂信者のくせにまだ理性があり、女性団員に地味にモテている我らがTさんである。
「ふふふ、ふふふふふふふ、うんそうだよね。
似たような笑い声で立ち上がったのは狂信者その2でまだ中高生ぐらいなのにいつログインしても居ると言う伝説? を作り出したボクっ娘、S。
「うふふ、ええ、そうですね。」
次に立ち上がったのは聖職者のはずなのに体に爆弾をくっ付けて周りから危険人物扱いされている社会人であるはずのCさん。
この狂信者達を皮切りに教祖を狂信している者達が立ち上がる、彼らも討論をしたかったのだろうか
何処となく目がギラギラしている気がする。
ちなみにそれを言ってしまった新人団員くんは急に立ち上がり、何かヤバそうな雰囲気にアワアワしている、この場での癒しである。
「…………」
まだマトモな信者達から何とかしてくれと言う視線を向けられているのがA、真面目であるが故に苦労人となった可哀想な人である。
彼は先程の狂信者のように急に立ち上がるとメニューを操作してホワイトボードのような物を取り出すと周りに届く声で告げた。
「……幼母様の呼び名会議を始める。何かあれば手を上げて発言するように」
まさかの裏切り、マトモな人達は「あぁ、コイツもやつらには劣るだけで狂信者だった」
と今更思い出した。
「はい、まず有名な『教祖』『幼母』『幼聖』の3つを提示します。」
そう言ったインテリ系団員の発言から呼び名会議は加速する。
「『教祖』こそ、最初にして至高!」
「いやいや、『幼母』が母性溢れるあの方に合う!」
「ふん、分かっていない『幼聖』様が妖精のようなあの方に似合う」
「笑止! 『マリア殿』が良いであろう」
「おいおいおい呼び捨てはダメだろ」
「違うぞ、殿が付いてるから……アウトよりのセーフ、セウトだ。」
そんな風に盛り上がっていると横槍が入る
それは新人団員の声で………
「あ、あの『マリア』では駄目なのですか?」
その瞬間、空気が凍る。観戦していたマトモな信者達も爆弾発言をした新人団員を驚いたように見つめている。
「………お前は二日前の騒ぎに参加しなかったのか?」
「と言うか、こんな団員居た?」
「あ〜 見た事ないな、おい誰か団員名簿持ってないか?」
最後に発言した団員に名簿が渡されてペラペラと捲っているが突然動きを止める。
「……ゥ………」
「んっ? 聞かなかった。」
「ここ一週間、ウチに入団者は居ない」
それを聞いた団員達は「じゃあコイツは誰なんだ?」と思う、一週間前に入ったとしても二日前の馬鹿騒ぎを知っていないはずないのだ。アレはあのまま次の日まで続く程の騒ぎでこの街で知らない冒険者や住人は居ないはずなのだ。
それなのに、それを知らないのはおかしいのだ
え? だったら他の人に聞けば良い?……少し黙ろうか
「…………」
新人団員は黙り込む、顔に髪がかかっているせいで表情は読めない、緊迫した空気が続くがそれは予想外のことで霧散する。
突如、教団本部の扉が開いたのだ。
そこから入ってきた人物は建物内の雰囲気など知らずに
「おぉい、こっちに黒髪の男の子が来てないか?」
と尋ねる、その声に新人団員が肩をビクッの震わせる。
「黒髪の男の子? 黒髪? ふむ…」
考え込むAの視線は自然と新人団員の元に向かう、姿は黒髪の少年である。入ってきた人が不思議に思いそこに視線を向かわすと
「見つけたッ!」
「クッソ! 折角逃げれたと思ったのに! また面倒な作業に戻らされてたまるか!」
そう言って逃げようとするが周りは団員により包囲されている上に出入り口に男が立っているのですぐに捕まった。
それから話を聞くとどうやら新人団員だと思っていたのは男の息子で旅路の確保の為に資金を稼いでいたところ、面倒臭くなった息子が逃げ出したのだとか
「本当にご迷惑をかけて申し訳ございません。」
そう言って旅人を名乗る男は教団本部から出て行った。謎のイベントに出会した団員達は一瞬視線を交わすと
「「「「会議、再開!」」」」
と仲良く叫んだ。
【旅人の息子】
イタズラ好きで面倒くさがり屋、
今回教団に侵入したのは偶然目についたから、
ちなみにマリアの名前を出したのはそれをしたらどうなるかと気になったから、その結果がコレ。