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こちら異世界ウイルス堂  作者: 烏川 ハル


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第十二話 一人で子供を産めますか

   

 ……おやおや?

 先ほどの「『生きている』とは何ぞや?」みたいに、次は生物の定義に関して聞かれるのかと思いましたが。

 今回は質問をすっ飛ばして、いきなり解答からですね。

 もしかするとマドック先生、期待した答えを私から引き出すのが思ったより面倒だとわかり「もう疲れた」という気分なのかもしれません。


「生物の定義といっても、まあ色々あるわけだが……」

 マドック先生は、意味もなく頭を掻きながら、語り始めました。

「……わかりやすいのは『単体で独立して存在すること』や『同じ形態の子孫を作れること』あたりかな? そしてウイルスの場合、一見、これに合致しているように思えてしまう」

 なるほど。

 バイ菌とも呼ばれる病原体であるならば、当然の性質ですね。

 そのウイルスが体内に溶け込んで、完全に患者と一体化してしまったら……。混ざってしまったカクテルを元のジュースとお酒とに分離できないのと同じく、もう解毒魔法では除去できないからバイ菌ではありません。つまりウイルスは、患者とは明確に異なる、単体で独立した存在です。

 また、患者の体内で増え広がるからこそ、バイ菌は厄介な病原体なのです。この増殖現象が、同じ形態の子孫を作るということです。

 ならば、やはりウイルスは生き物に思えるのですが……。

「お嬢ちゃん、ここまではいいか?」

 マドック先生が鋭い眼光を向けてきたので、私は少しびっくりしながら頷きました。

 すっかり聞き役モードになっていた私は、しばらく質問なんてされないとタカをくくっていたのです。


「独立した存在……。これには関しては、ウイルスも条件を満たしていると言って構わないだろう。だが問題は子孫を作る方だ。ウイルスは、自分だけでは増殖できない」

 ……ん?

 少し何か引っ掛かります。

 そんな私を見て。

 マドック先生が、ニヤニヤし始めました。

「お嬢ちゃん。何か言いたいことがあるなら、黙ってないで口に出してごらん。この説明をすると、元の世界でも、必ずと言っていいくらい、反論されたものだ」

「そう言われましても……。何となく変だな、という程度です。何がおかしいのか、具体的には……」

 と言いかけて。

 頭の中で、ようやく言葉になりました。

「マドック先生! 私も自分一人では子孫を作れません! パートナーが必要です!」

 そうです。

 一時的に自分を増殖させる分身魔法もありますが、私は使えませんし、そもそも分身魔法の『増殖』は、子孫を作る話とは全く別物でしょう。

「そうだな。俺も一人では、子供は作れん」

 マドック先生は、ニンマリとしています。いかにも「その答えを待っていました」という感じです。

「だが、俺やお嬢ちゃんの『一人じゃ無理』は、ウイルスの場合とは少し話が違う。そもそもウイルスには、子孫を作る上で必要な臓器がないんだ。それどころか、色々と生命活動に必須な器官を欠いている」

   

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