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不死スキルは弱い方です  作者: 上葵
▼校舎の絵の中
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日は射さずとも命は巡る


 目映いばかりの光が収まり、現実感がじんわりと足元から上ってくる。俺は狭いキャンプの中で棒立ちしていた。

 夜の気配が充満している。辺りはすっかり暗くなっていった。

 がらくたばかりが広がる空間に、幼女姿に戻ったアンティールは無言で椅子に傾けられた絵を眺めていた。

「あ……」

 俺は机の上のランプに灯りをともし、小さな背中に語りかけた。影が長く伸びる。

「アンティール。堂本はこちらの世界を繋げたわけではないんだよな」

 修学旅行の日程表の裏に描かれた魔方陣はアンティールがよく描くものにとても良く似ていた。

「……」

 返事はなかった。

 その代わりに彼女はその場でしゃがみこみ、地面に転がる白いなにかを拾い上げた。

 白い枝のように見えたが、すぐにそれが骨だと言うことに気付く。

「それにしても、いい絵ですね」

 傾いた日差しが校舎をオレンジ色に染め抜いている。夜明けか日の入りか、はっきりとはわからない。

「夜明け前が一番暗いんですよ」

 誰に語るでもなく、アンティールは一人ごちた。




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