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第九話(レオ視点)

今回はレオの目線です。

この話は飛ばしてもらっても構いません。

執務室で書類整理をしていると、コンコン、と扉がノックされた。僕が返事をすると、扉を開けて入ってきたのはフェルドだった。

「あれ、フェルド。どうした、何が問題でもあった?」

フェルドには、明日行われる夜会の準備を頼んでいた。

「いえ、準備は順調にすすんでいます。...リラ様から本日の夕食の件、了承と返事を頂きました」

「...そっか」

フェルドからの言葉を聞いて、ほっとする。それと同時に、自分の口角が上がっていくのがわかった。

(あまり期待してなかったんだけど...)

リラは、幼い頃からあまり人と接していないせいか、少し人に対して恐怖心を持っているように感じる。人見知りというほどではないが、簡単に心を許そうとはしない。そう感じていた。

(同じ王宮に住んでるのに、全然リラと会えてないもんな〜)

「よかったですね。一緒に夕食をとることができて。」

「あぁ。」

無意識のうちに頬が(ほころ)ぶ。

あまり笑うのが得意なわけではないが、リラのことになると別らしい。上機嫌で書類整理していると、ふとフェルドが言った。

「あぁ、ルーク様も出席なさるそうですよ。」

「...あいつもか...」

リラの従者、ルークは僕が城へ出向く度、リラに関する対応をしてきた。

(あの従者、苦手なんだよね)

いつもリラのそばに居て、リラもルークのことを必要としている。

(まぁ、小さい時から一緒にいる訳だし、家族みたいなものなんだろうけど...)

だが、僕の書斎で話をしている時のリラの顔は、今でもはっきり覚えている。

(ルークのこと、本当に信頼してる顔だった)

ルークがリラの意見を尊重して欲しいと言ったとき、リラはすごくほっとした表情をしていた。

(それまでは、緊張で強ばった表情をしていたのに...)

あぁ、リラは本当にルークのことを必要としているんだと確信した。

「何考え込んでるんですか。手が止まってますよ」

「分かってるよ。はぁ、なんだか疲れた。一旦休憩しよう。」

フェルドがお茶の準備を始めた。机の上を片付けていると、使用人がお菓子を持ってきてくれた。

「そういえば、レオ様の夜会の準備もしないといけませんよ。今回はリラ様のお披露目の意味も含んでますから、新しく買い直さないと」

明日の夜会は王家主催のため、規模が大きい。多くの貴族や、国外からも来賓が参加することになっている。

「あぁ、そうだね。あと、僕が王位を継承することも発表しよう。」

継承するのは2年後だが、早く発表することでいろいろと都合のいいことが多い。

「それと...何やらアルマ様達が動き出したようです」

「アルマ叔母様...?あぁ、リラが王宮に住むときに反対してたもんな。何かしら動くとは思ってたけど、早いね」

「えぇ。リラ様に何らかのテストをさせるそうですよ」

(テスト...?)

テストをさせるなんて、聞いたことがない。

アルマ叔母様は結婚しているが、子供がいない。そのため、リラが王族になることで居場所が無くなると一番危惧しているのはアルマ叔母様。何らかの手段で合法的に、リラを王族にさせないようにしようとしてくるだろうと思っていたが...。

(まずは、様子見かな)

なんについてテストかは分からないが、そのテストをリラが合格してくれたら、他の貴族や王族にもいい牽制になる。実現不可能なテストなら、辞めさせるが、そうではないなら様子を見た方がいい。

(今日の夕食、楽しみだな)

アルマ叔母様のことよりも、今は今日の夕食のことが楽しみで仕方なかった。

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