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第二十一話

目の前には、いくつもの豪勢な食事が並んでいる。王族が勢ぞろいした夕食会。

(今日は本当に全員参加してるのね)

カテリーナ様が出席しているのが驚きだった。カテリーナ様は生まれつき身体が弱く、今まで公式の行事にも滅多に参加していなかった。

周りを見渡してみると、それぞれが自分のペースで食事をしている。王族が勢ぞろいした夕食会と言っても、結局は各々が自分のペースで何の話もすることなく夕食を食べている。

(これって、集まった意味あるのかしら。それとも...)

誰かが予定になかった夕食会をしたいと言い出したのか。どちらとも言えないまま、夕食会は終盤に差し掛かり、使用人たちがデザートを持ってきた、そのときだった。

「お父様、少々よろしいかしら」

アルマ叔母様がおじい様...陛下に声をかけた。陛下が発言を許すと、アルマ叔母様が話し始めた。

「リラを王族に加えることですけど、私たちはリラがどのような子なのか、あまりよく分かっていませんわ。どのような教育を今まで受けてきたのかも。やはり王族になるということは、それなりの教養が必要でしょう?」

アルマ叔母様が私をチラリと見ながら言った。

「なので、王族にリラを加えるかどうか、試験をした方がいいと思いますの。すでに学者たちは手配していますわ」

アルマ叔母様が微笑みながら陛下に訴えた。一見王族のことを考えているように見えるが、私のことが気に入らないだけだ。

陛下はうむ、と頷いた。

「そうだな。ただ単に入れるだけでは、贔屓と思われても困る。国民にリラを王族として受け入れることを示すうえでも、それがいいだろう」

陛下は前向きな意見。

(そんなこと言っても、試験受けるのは私なのに...。どれくらいの難易度だと思っているのかしら)

王族としてふさわしいと示す試験だ。それなりの難易度だろう。

「だが、すべての準備をアルマに任せる訳にはいかない。どういう結果であろうと、正しい結果なのかと疑われると、国民の信用が無くなってしまうからな」

陛下はそうだな、と考える素振りを見せたあと、

宰相であるビリー様に耳打ちをした。

「王族の試験だ。何より、公平に行われることが大切だ。国民からの指示がなければ、我々王族は生きていけないからな。」

陛下はそう言ったところで、コーブラー宰相が陛下に声を掛けた。

「来ました」

「通せ」

ガチャ、と扉を開けて中に入ってきたのは

(ロイド様!?)

私の魔法学の先生であるロイド様だった。

「彼は王立魔学研究所の若き教授、ロイド・ウォーカーだ。今回のテストで、彼には審査に加わってもらう」

ロイド様を見ると一瞬目があったが、すぐに逸らされてしまった。

「今回の試験を担当することになりました。よろしくお願いします」

一礼すると、にっこりと笑った。

陛下とは面識があるようだし、ロイド様がどういう人物なのかますますわからなくなった。

(王立魔学研究所って、国中からエリート研究者が集まる研究所じゃない...)

王族の教師をするぐらいだからそれなりの地位にいるとは思っていたが、ここまでだとは思っていなかった。

(前に何とかするって言ってたけど、こういうこと...?)

確かに、ロイド様が審査に加われば不正が行われる心配はない。

横目でアルマ様をみると、アルマ様の眉間には深いシワが刻まれていた。

(陛下が呼んだんだもの。結構ですなんて言えないわよね...)

そのまま夕食会はお開きになり、結局アルマ叔母様がロイド様について何か言うことはなかった。



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