第二話
ある日、私はいつもより早く目が覚めてしまった。窓の外へ目を向けると、まだ空が半分青かった。目を閉じてみたが、一向に眠れず、私はベットから出た。
(もう下に降りようかしら。ルークは起きているか分からないけれど、シェフはもう起きているはずだわ。)
そこで、温かいココアでも入れてもらおう。そう思い、下へ降りた。
階段を降りていると、窓から朝日が見えていた。思わずその光景に目を奪われていると、後ろに人の気配を感じた。ゆっくり後ろを振り返ると、そこにはルークが立っていた。
(なんだ、ルークね...)
ルークだったことにほっとしつつ、私はルークに話しかけた。
「どうしたの、そんな所に立って。」
「リラ...。リラ様こそ、こんな朝早くにどうなさったんですか。」
「別に家にいる時は敬語じゃなくていいのに...。たまたま目が覚めちゃったの。」
ルークの問いに答えて、階段を降りた。メイドを呼び、ココアを持ってくるように頼んだ。
「珍しい。リラ様が自分から起きてくるなんて。悪い夢でもみましたか?」
ルークが言った。
「もう、子供じゃないのよ。...ねぇ、ルークはいつもこんな早くに起きてるの?」
メイドからココアを受け取り、ソファに座った。
「いえ、いつもはもう少し遅いんですが。でも、この手紙が届きまして」
ルークから手紙を受け取り、宛名をみると、私宛だった。差出人は、レオ・ジェラルド。お兄様からだった。中を読んでみると、今日、お昼前にこちらを訪ねる。という内容だった。
(レオお兄様が来るから、その準備で起きていたのね)
ルークに同情していると、はぁとため息が聞こえた。顔を上げると、ルークが頭を抱えていた。
「どうしたの」
「いえ、こないだ王宮に行った時に会えなかったから、わざわざ会いに来るんだろうと思いまして。」
「何か用事があるんじゃない?レオお兄様も、別に好きで来てるわけじゃないわ。」
(私に会いたがる人なんていないもの。)
生まれつき、身体に白を宿している者が好かれることはない。ルークは幼い頃から一緒にいるため、例外なだけだ。
窓の外には、もう日がでていた。
「ルーク、朝食にしましょう。お兄様が来るなら、その準備もしないといけないでしょ?」
「...はい。それでは、朝食をお持ちしますね。」
ルークが調理場に向かった。1人になった私は、ソファに身体を沈めた。ルークは、小さな頃から一緒にいる私が、髪色が白いだけで嫌われていることが気に入らないのだろう。レオお兄様は私のことを、可愛がってくれるけど...。
いろいろ考えているうちに、朝食が運ばれてきた。