わたし、おきる
ブックマークありがたいです。いずれはノーベル文学賞をとるので期待していて下さい
窓から差す健康そのものたる朝日が、わたしを適切に覚醒させることほど幸せなことはない。しかしそれは今朝、乱されている。両脇の美少女の健やかなる寝息が、我が愚息を激しく荒ぶらせる。わたしの動揺を察したかのようにまぶたを一瞬痙攣させた、全ての光を吸い込むような黒髪をなめらかに布団に靡かせている少女は、わたしをぼやけた目で認識した。その瞬間に時が止まる。狂ったように純粋な笑顔にわたしは打ち付けられた。
「おはようございます〜」
優しく挨拶をしてきた。この状況はどうやら異常ではないようだ。昨日ユイという名前を知ったばかりの少女と今朝を共にしていることは、確かによく起こることだ。
「おっはよ〜」
逆サイドで陽気な挨拶が。
わたしはどこで道を間違えたのか。なぜわたしは生まれてきたのか。生きる意味とは何か。
「あー!また難しい顔してる〜」
明るく快活なボイスだ。メグはいい声してるなぁ。
「昨日の夕飯で私たちに求婚されたときと同じ顔ですね!」
あー、そんなこともあったなぁ。
いい加減、即自存在となった過去を適切に振り返る必要があるようだ。




