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わたし、出会う

わたしとセムは、早速セムの宿へ向かう。村の入り口からまっすぐ、3分歩くと見えてくるのがセムの宿。

セムの宿は素晴らしい田舎の宿だった。木造で、少し古びた木目が、ビンテージ調の家具とマッチしている。宿に着くなり一階のロビーを駆け抜け、階段を駆け上り、二階の角の一番良い客室へと私を招き入れたセムはこの宿を相当誇りに思っているようだ。

「失礼します」

ドアがノックされる。

「おう!」

慣れた様子で返事をするセムから察するに奥さんだろう。扉が開かれる。

「こんにちは、すいませんね父が」

気まずそうにも、瑞々しい笑顔を見せる美少女はこのいかつい中年男性の娘のようだ。クソザコ推理力。

「いいんだよ、こいつは!もう俺の息子も同然だぜ!」

この信頼はどこからきているのだろうか。

「お父さん!そうは言っても初対面の人でしょう」

娘さん、突っ込むところはそこですか。まずわたしが息子同然であることがおかしいだろう。

「貴方、名前をお伺いしてもよろしいかしら?」

「そういや聞いてなかったな」

「お父さん!あなたの直感は信じますけれど、礼儀は必要ですわ!」

二人が騒いでいる間に、我輩は猫である。名前はまだ無い。とかロクでも無いことを反射的に思考していて、なかなかわたしが質問に答えないため、娘さんはわたしがその質問を不快に感じたと誤解したようだ。

「名乗るのが先ですね、失礼しました。私はサラ。セムの長女ですわ。母がもう亡くなっていることはご存知ですか?そのために、この宿では私が女将をやっております」

あ、これハーレムなってくやつですやん。こんなノリであと何人か出てくるやつですやん。


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