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わたし、就職
村に着いたわたしは旅のものだと素性を誤魔化し、さらにびた一文も無く、死にそうだと言った。村のおっさん1は優しかった。
「おめえ、ここにずっと住んでくれんだったら仕事、斡旋してやっても良いぜ」
わたしは頷く。
「そうか!おめぇみてえな、若い男がいなくてなぁ、こまってたんだ!丁度いいぜ!神様に感謝だぜ!」
わたしも神様に感謝です。えぇ。
「実は俺は宿屋やってんだ。宿屋のセムと言ったら俺のことよ!」
セムは哄笑している。
「それでだな、俺には息子がいなくてだな、娘は仰山いるんだがな、どうしても跡取りがいなくてよ。それでおめえをこれから育成してやんよ!」
初対面の人にマジか、セム。




