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わたし、

「いってきます!」

快活な一声であたりを三ルクスだけ明るくした少女は、鍵を閉めた。少女は学校へ行く。着替えの際の擦れる音からそれが制服であることが推測され、かつ行為中の絶妙にあふれでる曲線が少女の女子高校生らしさを確実なものとした。

わたしは昨日からずっと家にいるよう少女にしつこく言われていた。

とりあえずわたしは眼科に行こうと外へ出た。がちゃり。保険証も何もないが。ポケットを探る。プラスチックの感覚と福沢諭吉のにおい。神様、有能。

「お大事に」

メガネをつけたわたしは少女のマンションの前の眼科の受付に見送られた。わたしの目は単純な乱視であった。眼鏡。安心だ。

わたしはわたしの家に帰ることにした。ここから歩いて五分。てくてく。わたしは涙を流している。とまらぬ。この公園はわたしが幼稚園生の時によく遊んだ場所。砂場。トンネル。

わたしはわたしの家のインターホンを震える手で押す。ピンポーン。

「はい?」

母。

「あ、」

悲鳴。

ガチャリ。

「なんで、なんで、なんで」

泣。

抱擁。

わたしは息子。

わたしはかえってきた。


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