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ヘブンズゲート・クライシス  作者: 遠藤 薔薇
8/112

8

「OK。財布持ってくるわ」

上機嫌になったイリスはショルダーバッグから財布を出して中身を確認し始めた。

楽しそうだな。イリスの一挙一動を眺めながら、俺は思う。

初対面で、まだ会って1時間も経っていないけど、俺とイリスの関係の「形」がなんとなくわかってきた気がした。


スーパーで買出し、キッチンで並んで料理。我ながらこうもきれいに恋人のテンプレートをやるとは。やっている自分が気恥ずかしくなるけど、正直うれしい。

ただ作った料理がガンボというよくわからないものだったけど。アメリカ南部の伝統料理らしい。

「クセになるんだから」

イリスは得意げに、カレーともビーフシチューともにつかないガンボを炊いた米にかけて差し出してきた。

確かにうまい。独特なスパイスの香りが鼻を抜ける。また新しい体験だ。

「なんか懐かしい感じがする」

「作ったの初めてだよ?」

「イリスの手料理だからかな?」

「適当ばっかり」

イリスがおかしそうに笑う。

「そういえば」

全部食べておかわりした後、俺は思い立ってイリスに尋ねた。

「荷物持っているけど、チェックインしていないのか?泊まるホテルは?」

「ないわよ」

「え?予約していないのか?」

「する必要ないじゃない。ここがあるんだし」

「へ?」

「何その顔。ここは女の子一人寝られる部屋もないの?」

そんな展開か。

俺はしどろもどろになる。

「え、泊まるの?いつまで?」

「うーん…しばらく?帰りのチケット取ってないのよね」

「えーっ…。空いているの父さんの部屋だけだし、父さんお盆に帰ってくるし…」

「あらそう?挨拶するいい機会だわ」

「マジでか…」


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