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ヘブンズゲート・クライシス  作者: 遠藤 薔薇
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「ほー。やることやってんなー」

「そういう言い方はやめてくれよ」

「いいじゃんよ。俺だってそんなもんだしー」

「一緒にすんなよ」

槇原は特定の彼女を作らないことで有名だ。女たらしというわけではないが、そういう関係になっても長続きしないので、恋人関係ではなく肉体関係に留めているらしい。それもそれでどうかと思うが…槇原曰く「お互い了承しているから大丈夫」らしい。

モテる男の勲章というべき台詞のような気もする。

「ちょっと踏み込んだ質問していいか?」

「いいけど」

「『一応』って何?なんか引っかかる感じがするー」

意外と鋭い。俺は答え方に迷った。ボロが出たのは自分の責任だが、こんなにも簡単に核心を出してしまうとは。

俺が答え方に悩んでいる間に、槇原はカレーを食べ終えた。そしてまたメニューに目を通しているデザートを注文する気なのだろう。

こいつ、映画を捨てたな。いやいやひとまずはどう質問に答えるか…。

「別に話したくないならいいけどさー」

チョコバナナパフェを注文した槇原は帆杖をついて残りのミックスジュースを飲んだ。

「まーでも、自分の手に余ることだったら話した方が楽じゃね?解決策を言えるかはわかんないけどさー」

「槇原…」

「彼女って面倒なもんじゃん。他人のことを背負うなんていつだって手に余るものだぜ。だったら愚痴だの相談だの出てきて当たり前じゃん」

急に真っ当なことを言い出すのも槇原の癖だ。それに槇原なりに気にかけてくれていることもやっと理解した

「…彼女の事情っていうか、秘密っていうか…そういうのが気になっている…みたいな奴」

「秘密は女のアクセサリー」

「ルパン三世か」

「冗談―」

真顔で言う冗談は冗談じゃない。

「でもその秘密?を知ってどうすんの?」

真顔で槇原は冗談から詰問に切り替える。

「知ってどうする…」


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