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ヘブンズゲート・クライシス  作者: 遠藤 薔薇
11/112

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「あまりにあっさりと…信じられないくらいに上手くいったようなので」

『幸福は甘んじて受けるべきだ。慎重に事を運んでいる自覚があるのならね。君はそのまま任務を続けたまえ。私は動けんのでな』

「…どうしてこのようなやり方を?」

『異議があるのかね?』

「いえ…率直な疑問です」

『…よかろう。まぁ遠回りなやり方である事は否定しない。非効率であることも』

「ならどうして?」

『彼は面白い血筋だそうだよ。母君が特にね。吟味する価値はあるだろう』

「彼個人の情報はいくらでも…サンプルだって」

『サンプルより多く回収するためでもある。だがこれは君への試練でもある』

「試練?」

『痛い目に遭ったからな。紙や電子だけではアウラの輪郭はつかめない。私も未熟だったよ。だから次は精神を計ることにした』

「精神を…計る…」

『自覚したまえ。君は為るべき者に為らねばならない。それが君の生まれた理由であり生きる意義である。彼女ならどうするか、よく考えて行動したまえ』

「…もう一つだけ、質問してもいいですか?」

『いいだろう』

「彼女なら、どうするでしょうか?」

『彼を懐柔するだろう。彼女は、あの方は、深い慈愛を持っていた。誰よりも人を愛し、誰よりも良く導いた。君のその片鱗があるのなら、きっと同じ事をする。きっと同じ事になる』

「あの方と、同じ…だったら…」

『努めたまえ。私は君に期待している。裏切られるのはごめんだよ』

「…善処します。いえ、必ず、成功させます」

『それでいい』

電話を切り、彼女はため息を吐いた。

物悲しいような気分だ。こうしている自分ですら、自分なのかと不安に想う程に。


3.今はあるもの、今はないもの。

夢。

雑踏。並んで歩いだ影。無表情な人の群れ。

夕日。揺れる水面。動かない釣り糸。


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