吾輩は猫である
周りには何もない真っ暗闇。
しかし上から一筋の光が差し込んでおり、その光が俺の目の前にいる美女の銀髪をきらきらと輝かせている。
「気が付きましたか」
透き通るような声が俺の鼓膜を揺らした。
「あなたは・・・」
「私は、あなたを輪廻の渦へと導く者です。あなたは死にました。これからあなたは輪廻の渦に飲み込まれ、転生します」
「転生・・・!」
「えぇ。ただ、人に転生するとは限りません。ここではあなたの生前の行いから、何に転生するかを決定します」
「俺は、生まれ変われるのなら、猫になりたい!」
「えっ!?いやいや、たいていの人はもう一度人間になりたいって言いますよ?」
「存在だけで癒しの対象になり、なおかつ好きな時に寝て飯にも苦労はせず、一日中グータラできる・・・俺は猫になる!」
「そうですか・・・、まぁあなたの生前の行いからしても猫くらいが丁度いいかもしれませんね」
「あぁ!さっさと転生してくれ!」
「わかりました。良き猫ライフを・・・」
そういうと美女は両手を上に掲げた。すると大きな穴が空中に空いた。
その穴の先は混沌としていて、明らかに異空間だとわかった。
穴はまるで生きているかのように、俺を食らおうとした。その途中で美女が囁いた。
「飼い猫になれるとは限りませんがねっ」
俺はその囁きに対抗するように叫んだ。
「吾輩は、猫である!!」
そして俺な穴に食われて混沌とした異空間に飛ばされた。
少しの浮遊感の後、すぐに意識がなくなった。




