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マジック サーヴァント マイスター  作者: すあま
第零章  〜マイクロ ワールド アプローチ〜
28/29

第28話 大人達


 自衛手段ですので以下は気にせず、飛ばしてください。


 無断転載禁止


 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 現在、2chRead 対策で本作品「作品名」につきましては、

 部分的に本文と後書きを入れ替えると言う無断転載対策を実施しております。

 読者の方々には、大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解の程よろしくお願いします。 

 Copyright © 2018 すあま All Rights Reserved. 

 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 今話題の2CHRead無断転載問題、五分で出来るちょっと痛快な自己防衛対策のすゝめっ!

 作者:MITT様よりお借りしました。





 気が付くと手足に枷がかけられ、馬車に揺られていた。僕以外にも手足に枷をつけられた子供が何人か居た。年齢は六〜八歳ほどで男のみ。木の板で仕切られた狭い牢屋の様な場所だった。みんなボロ布を纏い髪はボサボサ、獣の様な異臭と垢だらけでその光景は衝撃的だった。


「ここは……」


 ハッキリとしない頭をどうにか平常へ持って行こうとする。


「アイルス! やっと目が覚めたか!」


 ヘルの声が耳元で聞こえて聞こえた方へ首を巡らせ、ヘルを探した。


「ヘル……」


 他の子がちらりとこちらを見た。


「しっ! 喋るな。今姿を消して、アイルスしか聞こえない様にしている。今お前に魔法が掛からない状態にあるから直接声を届けている」

「……」


 意識が次少しだけハッキリとしてくる。並列思考達に話しかけるがテレパスラインが切れている事に気付く。そして、裸の上にボロ布一枚を纏っていることにも。


「落ち着いてよく聞け、お前は奴隷として捕まえられた状況にある」

「!」

「眼光が鋭くなったぞ気を付けろ。恐らく魔法も唱えられないと思う。封魔シリーズの所為だと思う。隙を見て逃げ出そう」


 そうか。どうにか並列思考達と連絡を取り合いたいが……今は眠気が酷い。回復しきってないのか……。


「おい、アイルス……寝たのか。仕方ない今は寝かせとくしかないか」


 ごめん、ヘル……起きてからね……。


 ◆


 試練の洞窟 コボルドの集落


 アイルスが空間転移で連れ去られてから三分後、暗い中眩い光が溢れて人の子供が通れる穴が出現した。その穴を潜ってドル師匠が現れる。


 老いコボルドと子コボルドが集まって乱雑に寝ている。そこから少し離れた場所にゴブリナ、入口の二箇所に固まってゴブリンが寝ていた。出来の悪いゴーレムの様なコボルド達の操るヴェアヴォルフが見張りの様に立ち尽くす。ゴブリンとコボルドを襲撃した者達の様にも見える。


 ヴェアヴォルフがドル師匠を認識し、傅く姿勢に一斉になる。


「この惨状はなんぢゃ!? アイルス! プランクよ! 誰ぞ応えられる者は居らんか!」


 一拍おいてテレパスが飛んで来る。


『師匠! 大変です。恐らく、僕のオリジナルが悪魔族に攫われました!』

『お主は?』

『アイルスのスピリット・クローンの“ラド・アイルス”です。本体は足元です』

『む?』


 足元を見ると、小さなサーヴァントが手を上げた。見覚えのある手彫りヘッドの小さな人形が動いている。ダウジングした人形だ。


『いま、なんと言った? スピリットクローン?』

『スピリット・スキャンしてエーテル・フィルム・パターンをコピーした人格複製です』

『なんぢゃと! おお……目を離した隙に仕出かしおっていたか』


『何か問題がありましたか?』

『お主の存在が世に知れればアイルスは教会に断罪されかねん程には大問題ぢゃな。あぁ、ワシも同罪になるかの』

『え? なんでですか』


『魂の複製及び新たな生命を創り出すことは神域を侵す行為ぢゃからの。禁忌に触れる事になる。地の果てまでも追いかけて断罪する事ぢゃろう』

『そうですか』


『なんぢゃ、他人事みたいに感情のない反応じゃの』

『生体脳を持っていませんので、本能や感情を擬態する必要なしと判断したので排除しました』

『なるほどの。しかし、今は瑣末な事よ。ラドよ、アイルスの手掛かりはお主しか居らん』

『分かってます。師匠』

「なんともおかしな事になってきたわい」


 小さなサーヴァント(現ジェンドブ・ガディエス)を手に乗せながら、ドル師匠は呟いた。


『で、コレはどうした事ぢゃ? 説明してもらえるかの』

『先ず、師匠の教えの通りに『見下さず』、ヘルの示したヒントから『禍根を残さず皆殺すか殺さないかの二択』からオリジナル・アイルスは、全員無力化とオリジナルの知識を与える事にしました。結果、コボルドの戦闘可能な者達が『仲間』になりました』

『テイムではないのか?』


『ヘルも現在世界の置かれている背景の停戦中とは言え、悪魔族との戦争中からコボルドの皆殺しを提案しましたが、オリジナルは拒否、意思疎通を図りました。ヘルがコボルド語のサポートを行い、意思疎通は成功。先兵だった最初のコボルドをリルナッツにて制圧。援軍のコボルド達もフォレストクラブを召喚して和解しました。ゴブリンがその頃コボルドの集落を制圧。その際待伏せをコボルド達にゴブリンは行いましたがこれをリルナッツにて捕虜にしました……』


『待伏せ? あのゴブリン供は野良では無いのか? 統率者は?』


 説明と共にリルナッツの見ていた場面(シーン)もイメージとして伝わる。ゴブリン達を撃ち抜いた場面は待伏せであったかとドル師匠は説明を聞きながら知っている情報を整理していった。


『リーダーはそこで眠る少し人間ぽいゴブリンのメスで上位悪魔族に作られた存在の様です。ゴブリンは全員拉致、強制睡眠学習中です。敵リーダーはハイ・エンシェントの使い手でしたがオリジナルの作ったサーヴァント“サンド・グレイン”の動的結界気圧攻撃により無力化しました』


『ほっ。ハイ・エンシェント使い相手に! 一体どれだけの魔力を注いだんぢゃ。いや、待て勝てたのなら、なぜアイルスは居ない?』


『一度オリジナルが敵リーダーと接触。その際エビルズ・シンボル・マーカーによりオリジナルは敵上位悪魔族に位置等を知られ、敵リーダー撃破後に強制空間転移させられました。行先は不明です。転移方向は魔素のベクトルから上方やや、南西です』


 警戒の大切さをもっと教えておくべきぢゃったと目元を手で覆い、ドル師匠は仰いだ。後悔を拭うが如く顔を拭い、目にとまる疑問をラドに質問する。


『ふぅむ。では、あのコバルト鉱石と所々マジック・オブジェクトで構成されたゴーレム擬きはなんぢゃ?』

『“ヴェアヴォルフ”と名付けられたサーヴァントです。自立型四人格制御ですが、憑依操作可能です』

『今、なんと言ったか? 自立? 憑依ぢゃと?』


『スピリット・クローンにより、アイルスと精霊クフィーリアの魂紋(エーテル・パターン)を持たせた制御用人格で、索敵警戒、動作、右手火器管制、左手火器管制の制御を四人格で行なって居ます。尚、生体脳の弊害である本能を除去しているので、忠実な動作しかしません』

『禁忌をお前だけでなく相当数行ったと言う訳ぢゃな……目を離していてはいけない部類であったか……』


 後悔先に立たず。もはや後の祭りであった。


『憑依操作とは、操作権限登録者のみ自分の体として操れます。オリジナルはコボルド達に操作権限登録を行いました。現在ヴェアヴォルフはコボルド達が制御しています』

『どう言い訳しても、教会から攻撃される材料しかないのぅ』


『意思疎通が可能だったので……』

『光の民の情勢をもっと教育しておくんぢゃったわ……まぁ、やってしまったものは仕方ない。隠し通せるものでもないと思うが、暫くはお前の、否、お前達の存在はワシが責任を持って隠蔽するしか無いの』


『もとより人ならざる身。光の民の生息圏には出ないつもりです。恐らく悪魔族にも認められないと思われます』

『なるほど。確かにの。当面はその“上位悪魔族”を対策しなければならんしの』


 そして、ソフラト達になんと説明したものか頭の痛くなるドル師匠であった。


 ◆


 アイルスの故郷 プリムヘッツ村


 シルフのマスターであるアイルスの母マリアンナは、クフィーリアから報告を受け、アイルスが攫われた状況までを知った。問題は報告しに来たと言うことで現在の位置を正確に掴めていないという事だ。


「それで? クフィーリア、アイルスは空の向こうに攫われた後分からないのね」

『はい、マスターマリアンナ。雲海の上で風が途切れ、マスターアイルスとの仮契約が破損、3時間ほど前の事です。マスターの波動は遥か上空より届いていましたが、10分とせず途絶え、現在は行方がわかりません』

「なんて事でしょう。ドル先生ともあろうお方が……あぁ、アイルス!」


 その時、窓辺に窓の鎧戸を叩く者が居た。鎧戸を開くとミミズクが大人しく待っていた。



『夜分遅い上に使い魔での訪問、不躾極まりないかぎりで誠に申し訳ない。ミセス・プリムヘッツ。火急の用事故、容赦されたい』

「いえ、今しがたつけていたシルフより、報告を受けました」

『さようか。すまぬ。監督不行き届きぢゃ。弁明の余地はない。命に代えてもアイルスは見つけ出すことを誓う』

「そんな、アイルスは無事なのでしょうか? アイルスの手掛かりは、何かありますか?」

『別の我が使い魔がまだついておる故、恐らく無事ではある。しかし……ここでは話せぬ内容を含む。本当にすまぬがソフラトを一日早めて寄越してくれぬか?』

「一体何があったと言うのです!」

『重ね重ね不躾で申し訳ないが精霊から話を聞く場合も誰にも聞かれぬよう慎重に頼むぞ。でなければアイルスが危うい』

「アイルスが一体何をしたと言うんですか!」

『悪魔族に関する話での。アイルスの才能は開けてはいけないパンドラ・ボックスだったようぢゃ。では、詳しくは我が隠れ家で話そう』

「あぁ! ドル先生!」


 語り掛けが終わると、ミミズクはエーゼルバニア大森林へ向けて飛び立ってしまった。


「嗚呼!」

「ママー、誰と喋ってるのー」


 部屋に幼子が入って不思議そうにアイルス達の母を見た。マリアンナは目に涙を浮かべ答えた。


「何でもないのよ、マルシェラ、クリスティ」


 幼子を寝かせる準備をしている最中だったことを思い出し、部屋へと連れて行く。


「ママ、明日は……どうした?」


 大部屋で赤児を寝かしつけてたソフラトが明日の予定を一部伝えようと声をかけて、様子に気付き理由を尋ねる。


「貴方、アイ……いえ、後で話すわね」


 それだけ伝えると気丈にも彼女は普段の母を演じたのだった。


 ◆


 登場人物紹介


・マリアンナ・プリムヘッツ

 種族:ハーフエルフ(推定70代 人の外見年齢20後半)

 身長:167㎝ 体重:不明

 髪:灰 瞳:青地に黄白と橙白3枚ずつの花の様な虹彩


  元英雄候補の一人。魔術系に特化し、精霊使役術を

 極めたシャーマン。武器は弓。矢はその場で構成され

 風の加護を自動で受ける。



・マルシェラ

 種族:人間と獣人のハーフ(4歳)

  女の子。物心がついたばかり。耳と尻尾以外は人間

 そのもの。意図的に教会から隠されている。



・クリスティ

 種族:ハーフエルフ(6歳)

  女の子。マリアンナとは血が繋がっていない。精霊

 との新密度が高く、恐らくマリアンナ同様シャーマン

 の素質のある子。アイルスを良くからかっていた。




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お読みいただき、ありがとうございました。

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