第27話 MMO風に言うならば「何故呼ばれたか、お分かりですね?」
自衛手段ですので以下は気にせず、飛ばしてください。
無断転載禁止
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今話題の2CHRead無断転載問題、五分で出来るちょっと痛快な自己防衛対策のすゝめっ!
作者:MITT様よりお借りしました。
隠遁者(Metaphor.)
“吾が自信作を魔法如きで倒してくれるとはな。中々、面白い奴よ”
その時、突然慣れ親しんだ魔法のテレパスと全く異なる感覚で声が頭の中に響いた。
「誰だ!」
安心していた所為もあり、声を上げてしまった。
『どうした! アイルス!』
『誰かがテレパスでない方法で僕に語りかけてきている!』
『なんだと!? 呼びかけに応じるな! 今すぐイービルシンボルを切除する! 死ぬほど痛いが我慢しろ!』
ヘルが必死の形相で背中に周り、ヒールと同時にシンボルにマジックオブジェクトの刃を突き立て切り離そうとした。
「うがっ!」
「我慢しろ!」
物凄く痛い。魂の表面ごと切りつけられているのだから、当たり前なんだけれど。それにしてももっと優しくやってほしかった。
"何やら色々とくっつけておるな。本当に面白いヤツぢゃ、苦しゅうない、近う寄れ"
視界が歪み、立ってるのか倒れたのか認識できなくなった。
◆
次の瞬間、夜空のような不思議な絵が描かれた人工の床の上に四つん這いになる。目の前には青と茶色と緑と白が混在して塗られた球体の絵がゆっくりと動いていた。接触してた為かヘルも一緒だったが、明らかに違う場所への転移だ。
「だめだ! 転移させられちまった! ……」
ヘルが叫んだ。
"ようこそ、客人よ、まぁ座られよ"
ヘルの言っていることがやけに遠く、よく聞き取れない。頭に響く声が届くと強制的に立たされ、床を滑ってきた銀色の球体に座らされる。すると球体がヘコみ、体にフィットする。そして身じろぎひとつできない。驚いて声を上げようとするが声も出ない。辛うじて呻き声は出たが。
"おや、怪我をしておるのかや? 生憎と回復薬は切らせておる……そうぢゃ、ちょっと愉快なことを思い付いたでの。動くでないぞ?"
座らされた球体シートは部屋の奥を真正面に据える。上座(?)に座っていたフードを深く被った人物が居た。体格から僕と変わらぬ年齢の様にも見えた。相変わらずに声を発さず、しかし、頭の中に語り掛けて来る。背中が痛いせいか意識が混濁気味で、何か言ってるヘルの言葉はちゃんと聞き取れないにも関わらず、この頭に響く声は強制的に届いていた。
左腕にチクリとした痛み。何かを刺された。痛みだけが鮮明に感じられ、手足の感覚がまるで借り物の肉体の様で反応が鈍い。魂と肉体がシンクロしていない感覚。
"永く生きていると退屈でのぉ。吾が最高傑作を打ち倒した褒美ぢゃ。超越者の資格をやろう。活かすも殺すも好きにせぇ"
傷の痛みが消えて行く。ヘルが泣き叫んでいる。言ってる事がいまいち判然としないがそれだけはわかった。その声も少しずつ聞き取れる様になって来た。
「……やめてぇ! アイルスを元に戻してっ! お願いだからぁああぁあ!」
"うるさいのぉ。誰かと思えばいつかの大戦の失敗作ではないか。少し黙っておれ"
その言葉が終わるとヘルはビクンッとして、まるで突然死したかの様に、あるいは人形になったかの様に動かなくなり、その場に力無く浮遊した。第五階梯でもかけたのだろうか? それにしては魔力の重力に干渉する流れなどなかった。
"どうぢゃ? 痛みはなくなったはずぢゃ、漏れ出たエーテルの再補充もしてやったぞ"
意識もはっきりと戻って来た。ヘルめ、エーテルフィルムを破ってたな。イービルシンボルの所為か……。と左腕にヘルに似たサイズのインプが注射器を持っていた。ヘルよりシンプルな見た目のインプだ。ヘルと姉妹か?
"なんとか言ったらどうぢゃ?"
「ここは、何処? ヘルを元に戻してくれないかな?」
"ここは、箱庭観察拠点『テーレウス160』ぢゃ、そこのロストナンバーは機能を時間停止させた。産みの親の顔も忘れるとは『契約』が甘かったか……"
「貴女は、誰なんです。僕たちを殺す気ですか?」
"考え方が雑過ぎる。良くそれで吾が最高傑作を討ち取ったものよ"
「殺してはいない」
"解っておるわ。中々に飽きぬ者と思ったが買い被り過ぎぢゃったか? 折角、悠久の伴侶候補にと思ったんぢゃがの。まだまだ未熟者の様ぢゃな"
「何を言ってるんだ? 貴女は敵じゃないのか?」
"ふむ。口の利き方もなっておらん、吾が下へ勧誘をと思っておったが気が変わった。取り敢えずは苦労して出直して参れ"
「敵じゃないなら、僕たちを返してくれ! まだやらなきゃいけない事がある!」
"気に入ったとは言え、礼儀知らずでは施しも眷族にするまでとしておこうかの。一方的であるのは自覚しておるが何故呼ばれたか聞く耳も持っておらぬ様だ"
「傷を治してくれてありがとうございます。しかし、ヘルの取り乱し様から、それだけじゃなかったんだろ。眷族ってのはなんだ? 貴女は悪魔族なんだろ、人の種族を超越してそんな事が出来るのか? 僕に何をした! 警戒して当たり前だ」
"やれやれ、喧嘩っ早いのぉ。恩恵には対価が必要ぢゃろうが。説明する気も失せたわ。復讐しにくるならばいつでも来るが良い。それまでは人の汚い面に関して見聞でも広めよ。さらばぢゃ"
「なっ!?」
グニャリと視界がスライムの表面の様に歪み、またあらゆる感覚が失われる。
◆
時は少し戻る。
「どれ、アイルスは上手くやっているかのぅ?」
四角く切り取られた遠見の幻影の景色が幾つかが開き、そのうちの一つが大きく展開される。
「デバイスは問題なく機能しておるな」
森の中、家までの道のりをのんびり歩きながら鑑賞し、バイタルチェックも済ませる。
「ま、問題無かろう」
遠見の幻影を消し、バイタルモニタリングのみアラート監視でデバイスに常時起動させるとドル師匠は家に戻った。
家に入った時バイタルチェックが興奮状態を検知しアラートが響いた。
「なんぢゃ!」
急いで幻影を開き、アイルスの様子を見る。
「アラートと連動させておくの忘れとったわぃ」
すぐに開かない事にイラッとしつつ、連動起動させてなかった事に舌を出しながら遠見の幻影を発動させる。
『理解出来ない、お前が! 笑うなぁ!』
何やら叫んだアイルスが勝手にもんどり打って地面に激突した。
それと同時に遠見の幻影に赤黒い何かが飛んできて画面いっぱいに広がる。
「なんぢゃ!?」
赤黒い物体は画面いっぱいになった途端すぐに消えてアイルスと相対するコボルドを映した。
コボルドが鼻を抑えて膝をつくとナイフを拾うのが見えた。抑えた指の間から遅れて血が溢れてくる。尋常でない溢れ方だ。コボルドが地面に力強く足を踏ん張るとグリグリと捻る。
「ははぁ。サーヴァントを感覚共有で攻撃させたのぢゃな。命令だけで行えないとは天才も経験無しに上手くは出来ぬと言うことぢゃな。ま、コボルド如きプランクも居るなら心配ないがのぅ」
ドル師匠は遠見の幻影を消し、いつもの生活に戻った。
◆
昼
基本的にランチの習慣はない。空腹の時間がもたらす身体保全能力を知っている為だ。
ドル師匠は自分の研究に没頭していた。
またもアラート。瞬時に開くアイルスを映す遠見の幻影。肩口から血飛沫をあげているショッキングな映像だった。
「『アイルス!!』」
プランクとハモった。直ぐにプランクによってヒールされるが、服は汚れたままで破れてはいなかった。
「なんぢゃ、驚かせおって。どうせサーヴァントからのバックラッシュにショックバスターつけておらんかったのぢゃろ。いつになったら気づくか楽しみぢゃ」
コボルド達がアイルスを覗き込んでいる。
「なんぢゃ? なぜコボルド達がこんなに接近しておる?」
コボルド達と目配せしていた。
「プランクを使ってコボルドを手下にでもしたかの?」
何やらまるで飼い慣らされ『待て』を命令された犬の様にそこそこ逞しい筋肉の犬妖精達。
「いや、飼い慣らしたのか? どれだけ規格外なんぢゃ……ソーサラーでありながらサーヴァントマイスター、ドールプレイヤー、コボルドテイマーと言ったところかの。末恐ろしくも楽しみな成長速度ぢゃ」
コボルドをテイムした冒険者なども聞いたことがない。いや、いるかも知れぬが、テイムしたところで戦力として心許ない。しかしアイルスは現に飼い慣らした様に見える。それは異様な光景だった。
「もしやワシは開いてはいけない箱を開けたのかも分からんのぉ」
のんびりとそんなことを呟いた。
「傷の原因はなんぢゃ? む? ゴブリンか? コボルドを戦わせずにサーヴァントで戦ったのか。しなくていい怪我をするとはまだまだ経験が足りんのぉ」
「ゴブリンは両手の腱を切ったのか……なんぢゃこの破壊力は? エアスラッシュでも覚えたか? それにしては規模が小さ過ぎるのぉ」
サーヴァントのコマンド欄を覗いてみると"念動"が使われていた。しかも各関節連動の速度を極限まで高めるピーキーな組方で。そして関節だけでなく、サーヴァント自身をもその後に念動で限界加速。この時に最終軌道修正を行なっていた。
魔力の絶妙な振り分けもサーヴァントが魔力切れ手前まで使われるスペックも最大攻撃をあの小さな石の手の先端で行えば骨さえ貫けるだろう。
まさに動く弾丸である。そんなサーヴァントの使い方など未だかつて想像したこともない。
ドル師匠は戦慄した。いずれあのサーヴァントは空中を自由に飛ぶだろう。死角から飛んでくる弾丸人形など考えただけで身震いした。再度、弟子の成長を恐ろしくもあるがますます楽しみに思ったのだった。
コマンドを眺めていると更に驚かされる内容を見つける。見ただけで相手の魔法を解析するという機能が常時起動していた。
「ふむ、魔力上限が達しておらなんだが第五階梯以上の書庫に認証登録をしておくかのぉ」
ドル師匠はもう上機嫌で遠見の幻影を閉じ、鼻歌混じりで作業に戻った。
「ソフラトよ。主の子はとんでもない逸材ぢゃったぞ。帰って来たら久しぶりに世界でも見せに行くかの」
◆
夕方。
アラートが3回鳴った。
ヴァイタルチェックの反応が無くなり、遠見の幻影も発動しなくなった。
「!? バカな! ロストぢゃと!! コボルドかゴブリンしか居らぬ筈の階層で何があったのぢゃ!!」
ヘルの居場所を感覚共有から探ろうとする。しかし、シルバーコードが切れていた。
"捜し物の呪い"をかけるが、地図の上でくるくると水晶を結んだ紐は回ったまま、まったく反応が無い。
「バカな! はっ! サーヴァントは!」
今度はアイルスではなく、アイルスのサーヴァント(現ジェンドブ・ガディエス)を捜す。水晶はあの洞窟のある辺りを磁石に惹かれているかの如く指し示す。
「どうなっておるのか、……なんと言うことぢゃ、アイルス、おお、アイルスよ……」
ドル師匠は崩れかけそうになるが捜索をつづける決意をした。そして、あの洞窟へ短距離ゲートをいくつか開いた。
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【ステータス】
アイルス・プリムヘッツ(7歳)
弟子32日目 夕方強制転移直前
◆才能:※並列思考には脳が無いので更新なし
アカシック・リーディング(無自覚)
最適設計演算
魔力補助精密動作筋肉制御
失敗検証
検証データ予測演算
全体統制視野
外部記憶媒体直接読取
◆ユニークスキル/ユニーク複合スキル
魔力最適制御
マジカル・コンビネーション・オプティマイザ:
Lv 4→8
頭脳使用法:Lv 31→35
(並列処理により上限解除)
記憶向上+関連記憶→
フラッシュ・デフラグ・フロー
動的空間把握処理能力+予測演算+
動体視力処理速度連動加速→
フラッシュシミュレータ
夢想実現化演算→
ブレイクダウン・マイルストーン
並列思考限定
技能貸与
才能貸与
※頭脳使用法で纏められているのでLv 表示なし
※並列思考に脳は無くともアイルス自身のリソース
は使えるのでパワーレベリング可能。
◆技能:
見稽古(分析、考察)Lv 2→3
標準語(会話、読み書き)
遺跡語(読み書き)
精霊語(読心会話)
コボルド語(会話。物理的な発音は無理)
高速切替思考処理
並列意識連携処理 Lv 5→6
魔力察知 Lv 3→4
魔法式改造 Lv 6→7
魔法上級改造(並列連動等)Lv 6→7
混成魔法 Lv 6→7
物理造形設計技術(木材、石材)Lv 3→4
研磨整形技術 Lv 5→6
※関節部分の精密さを追求した結果。
スキルカスタム Lv 5
◆魔法複合技能
短時間睡眠術
|分散関連記憶回収整理処理
共有記憶同期
並列複合魔技最適化
技能分析
技能複製
才能読取
才能分析
夢絵操作 New
|夢絵記憶編集(メモリー・コンピレーション・フォー・シアター) New
無線接続情報記録" New
※対象をほぼ選ぶ事なく、記憶領域初期化を行わず
に物質の内部にイキナリ落書きできる。
物質分析 New
◆パッケージマジック、思い込み魔法割愛
※並列思考達は、アイルスのポケットの中で強制的に時間停止による機能凍結を喰らっている。決して作者が忘れた訳ではなく、復活仕立てのアイルスには、気を回す余裕がなかっただけである。
封殺されたアイテム等
・並列思考用サーヴァントヘッド
・サーヴァント一式
※但し、サーヴァント自体は機能停止していない。
・書庫へのアクセス
◆キャラクター紹介
・隠遁者
人類を容易く眷属に出来る謎の種族。傲慢に
振る舞い、しかし神の様な慈悲深さは無い様で
ある。ヘルやゴブリナ・クィーンの創造主で、
この事から、悪魔族陣営で間違いは無い。世界
を監視している意味が明らかになるのはまだ先
の話である。
主人公アイルスが生きて放逐されたのは、唯
『面白そうだから』と言う理由だけだ。全く、
もってトンデモない存在に目を付けられたもの
である。
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