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転生したようです。

初めてまして、画ビョウ刺さったです。

初投稿になりますので、至らぬところがありますが、温かい目で読んでください。



 

 真っ白い壁。


 最初に僕の頭の中に浮かんだ言葉はこれだった。

 断じて、「知らない天井だ」ではない。


 僕の目の前に広がるのは真っ白い壁だ。


 いや、それが壁なのか天井なのかはまるでわからない。

 どこまでも真っ白いそれは、どこまでも広がっているように感じるからだ。


 霧のような白でも、吹雪のような白でもない。

 それはそんな自然が作り出したような造形物にはとても思えない。


 例えるなら、それはパソコンに表示されるような、テレビに表示されるような、そういった無機質な白だ。


 漠然とした白。


 その無機質な白は、僕の目の前に広がっている。


 いや、目の前だけではない。


 前も、後ろも、右も、左も、上も、下も。


 すべてが白。命を感じさせない白が、僕を取り囲んでいる。




 音はない。


 自分の呼吸と心臓の音が聞こえるくらいに、ここは静寂に包まれている。


 僅かな身動きが聞こえるくらい、静かだ。




 匂いはない。


 木や水、草、空気、太陽、人、動物。

 そういった自然物の匂いはしない。


 ビル、車、コンクリート、鉄、ガス。

 そういった人工物の匂いすらしない。




 なにもない。


 ただただそこには真っ白い世界が広がっていた。


 死後の世界。


 そう錯覚するのに、十分な景色が目の前に広がっている。


「あ……う……」


 声が出ない。

 言葉が出ない。


 人は想像を超えたものが目の前に現れると、思考が停止すると誰かに言われた気がする。


 そのときは「へぇそうなんだ」、と半分聞き流していたが、実際に目の当たりにすると納得出来る。


「ふぅ……」


 僕は息を吐きながら、目を閉じる。

 落ち着け、落ち着けと、自らに言い聞かせながら。


 吸って、吐く。


 吸って、吐く。


 吸って、吐く。


 そしてゆっくりと、目を開ける。



 そこには相変わらずの真っ白い世界。


 変化はないように見える。


 唯一変わったとすれば、僕の心情だろうか。

 深呼吸したおかげで、少しばかり落ち着いてきた。


 ちらっと、僕は自分の体を見下ろす。


 僕は床に手をつけ、足と足の間にお尻を落とした格好、つまり女の子座りで座っていた。


 服は学ラン。この白い世界からは浮き出ているように見えるその黒色を見ると、少しばかり気が楽になった。


 何せ周りは白ばかりだ。こんなところに何日もいたら精神がおかしくなってしまう。少なくとも僕にはそう思えた。

 


 自分の服装を確認して、僕は再び辺りを見渡す。


 さっきのように漠然と、なんとなく見渡すのではなく、周りになにかいないか、警戒するようにして、辺りを見渡す。


 ぐるりと、時計周りに。



「……」


 なにもいなかった。


 先程と変わらない。


 しかし、なにもいないのであれば、しばらくは警戒する必要はない。命の危険は今のところないだろう。


 そう思った僕は、その場から立ち上がる。


 耳鳴りがするほど静かな白い空間に、僕が立ち上がる音が響く。


 しかし、それも立ち上がりが終わると、再び世界は静寂を取り戻し、また無音に戻る。


 そのことを頭で半分感じとりながら、僕は頭を働かせる。


 今のこの状況を、どうにかするために。



 ♪♪♪




 まず考えられるのは、僕が誰かに誘拐されたということだ。


 現在中学2年生、14才の僕は周りに比べれば背が小さく、体重も軽いほうだ。


 大きめの小学生に間違えられることもある。

 本当によくある。失礼な話だ。


 さらに顔も幼い、いわゆる童顔なためによく女の子にも間違えられる。

 母の血を濃く受け継いだ結果だ。


 逆に姉は父の血を濃く受け継いだようで、身長も高く、大人っぽい顔つきをしている。

 

 別に大人っぽい顔つきはどうでもいいが少しばかり身長のほうは欲しかった。

 並ぶと常に前から3、4番目というのは少々くるものがある。背の低い人たちには理解してもらえると思う。


 まあ、今の身長でも気に入った服が着れるから文句はないが。




 ふと、考えていることが脱線していることに気づき、頭を振って思考を切り替える。


「しっかりしろ。今の僕が考えるのは違うことだ」


 そう自分に言い聞かせ、僕は再び考える。




 身長も低い、体重も軽いとなれば運ぶのは容易だろう。大人一人でも抱えるのはそう難しくはない。


 何の目的は分からないが、誘拐という線は十分有り得る話だ。



 次の可能性。単純に夢を見ているということ。


 これはまず第一に脳裏をかすめたが、夢にしては周りの景色がやけに無機質であると同時にリアルさを感じた。


 もちろん夢なのかもしれない。むしろ誘拐よりもこちらのほうが納得がいく。




 しかし、なんというか、どうも夢に思えない。



 直感というものが、この世界を現実のものとして捉えている。


 こればかりは考えていても仕方がない。


 もし僕の直感が外れ、これが夢ならば、時間が経てば必然と覚めるはずだ。


 そう考え、僕は最後の可能性を思い浮かべる。


 僕が読んでいた本にもよく出てきた現象だ。


 正直な話、上2つよりも僕の願望が入っており、とても現実的ではない。


 だが、男子たるものならば、一度は想像するだろう。


 誘拐よりも夢落ちよりも、そっちのほうがはるかにいい。


 その現象の名は、







「異世界転生…だったらいいなぁ」


 思わず口から出たその言葉は、この真っ白な世界の中に吸い込まれるように消える














 はずだった。



「あら、もう目が覚めていたのね」

「うわっ!?」


 突如後ろから聞こえてきたその声に、心臓が飛び上がる程僕は驚いた。


 振り向くと、そこには人の頭の大きさほどの光の球が浮かんでいた。


 淡い緑色の光が球体から発せられており、それはまるで巨大な蛍のそれに似ている。


 真っ白いこの空間に、球体から発せられる淡い光は、どこか幻想的で神々しさを感じる。


 しばらく見とれていると、光の球がピカピカと点滅しながら話しかけてくる。


「あんまり見つめられると、流石に恥ずかしいのだけど?」

「え?あ、そ、その……ごめんなさい」


 僕が謝罪すると、「いいのよ」と言いながら光の球はクスクス笑う。


 からかわれているようだ。


「遅れてごめんなさいね。急な仕事が入ってね、そっちの方を片付けてたの」

「はぁ…、そうなんですか」


 いきなりの謝罪に僕はなんと答えて良いか分からず、曖昧な返事をする。


「さて、遅れてしまったけれど改めて自己紹介させてもらうわ」


 光の球はそう言いながらふわふわと僕の前まで飛んでくる。


 それを眺めながら、僕は一つの確信を抱く。


 どうやら僕は、


























「私の名前はアテナ。貴方の世界で言う神様にあたるものよ。突然で悪いのだけど、貴方には異世界に行って世界を救ってきてほしいの」








 異世界に転生するらしい。


















































 

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