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#23 再生者

―地下4階 12/24 午前9時 残り26時間―


グチャッ


肉が潰れる音がする。

夕姫に手を握った際に渡した銃弾を、相手に気づかれないようにレールガンで飛ばしてもらったのだ。

当たったようだし、形勢逆転だろう。

銃を構えつつ振り返る。


だが、そこには信じられない光景があった。

吹き飛んだ腕が床に転がっている。腕には拳銃が握られたままになっている。おびただしい血が床を染めている。

にもかかわらず、目の前には五体満足の女性が居た。

ジャケットにショートパンツで髪はショートカットの女性。年齢は20前後に見えた。


「夕姫、一体何が起こったの?」


「あの女の人、再生とかの能力なんだと思う。腕が飛ばされてもあっという間に元に戻ってた。」


「なんだって・・・!」


なんて厄介な能力だ。

一応銃は落とせたが、もう一丁銃を持っていたら・・・

女性がジャケットの裏からもう一丁銃を取り出そうとする。

まずい。

とりあえず逃げようと夕姫の手を引く。


「逃がさないわ!」


銃を向けられる。

引き金を引く手の動きがスローモーションで見える。

やられる。せめて夕姫だけでも・・・!


「りゅうくん!伏せて!」


「え?」



ガタンガタンガタン


ドドドドドド


機械音と銃の音。

丁度巡回してきたロボット達がこちらを攻撃してきているようだ。

先程倒したロボットの救援に来たのだろうか?

いつもは邪魔なロボットだが、今回ばかりは助かったと思った。


「りゅうくん!今のうちに!」


ロボットの攻撃に乗じて、謎の女性から逃げ出す。

何度か弾が当たる音がしていたが、再生するなら効いていないだろう。追いついてくる可能性もあるし、全力で夕姫と逃げた。



――――――――――――



「ハァ・・・ハァ・・・」


トラップゾーンは抜けていたので、あとは地下3階まで走るだけだった。

階段を上りきった後、近くの部屋で休憩している。


「流石にここまで来れば大丈夫かな・・・」


「たぶん・・・」


最近逃げることが多い気がする。しかも、毎回自分の命がかかっている状況でだ。

僕一人ではとてもじゃないが耐えきれなかっただろう。

隣に夕姫がいるから。

夕姫の隣に座って手を握る。

最早、夕姫と一緒にいることが絶望しきっていた僕の生きる意味になっていた。


逃げてる最中にも話したが、さっきの出来事について整理する。


「あの人が言っていた化物って何なんだろう・・・?」


「うーん、普通の人から見たら、私達なんて皆化物じゃないかしら?」


それはそうだ。能力なんて持ってる時点で普通の人とは違う'化物'なのだ。

でも・・・僕に能力は、ない。

夕姫を守れる力はないのだ。

そんなことを考えていると、不意に夕姫に抱きしめられる。


「今自分のことを考えてたでしょ?」


「う・・・」


「りゅうくんは化物になんかなる必要はにあよ。」


「で、でも・・・」


夕姫が両肩にポンと手を置く。


「そんなことより、早く進みましょ。自分で抱え込まないこと!いい?」


「・・・うん。」


でも、僕は夕姫を守りたかった。

例え化物になったとしても。




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