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#9 分断作戦

―地下8階 12/22 午後4時半 残り62時間半―


影山さんが物置から見つけてきたのは、アタッシュケース1つと食料。

アタッシュケースの中身はコルト・パイソンと呼ばれる35.7口径のリボルバー拳銃と.357マグナム弾。

食料は飲料水と市販されているお菓子類だ。

僕達は簡単な食事を済ませ、今日中に7階に辿り着けるように部屋を出発した。

8階は9,10階等と違ってとても広く、様々なトラップが仕掛けられていると推測した為だ。

ちなみに、コルトパイソンに関しては、僕には扱える自信が無かったので、影山さんが所持している。


「そういえば影山さん、能力は一体何なんですか?」


僕がふと疑問に思って、質問してみる。


「ああ、俺の能力は"鍛冶師"だ。物の能力を一時的に高める能力でな。」


鍛冶師。

物の能力を能力を高められるのは、物が限られているこのゲームではとても強力な能力だろう。


「だから人狼の剛毛もあっさり貫けたのね。」


夕姫は納得してそう言う。


「そうだ。でも、物本来の使い道以外の能力は高めることが出来ない。

ナイフを例にするなら、貫く斬るなどの鋭さというものは高めることが出来るが、ナイフ自体の耐久力や投擲した時飛距離などを高めることは出来ないといったふうにな。

またレベルによる制限も厳しい。」


影山さんは少し険しそうな顔で言う。

万能な能力ではない・・・ということか。


「俺の能力もそうだが、どうやら戦闘系の能力が多いようだ。爆弾の能力とかまさにそれだろう。これからは敵のレベルが上がって能力が増えてくる頃だし、気をつけて進もう。」


戦闘系の能力。

デスゲームなのだから、そういう感じの能力が多いのだろうか。

じゃあ僕の能力も戦闘系の能力なのか?



――――――――――――



1時間程歩いた先。

ある場所で一旦立ち止まった。


「まさに迷路ね・・・」


夕姫が手にしている端末上に、複雑に入り組んでいる上に、かつ色々な所で接続している空間の画像が写しだされている。

中央に太い通路があるものの、それも途中で細い通路に分岐してしまっている。


そう、この先だ。


「プレイヤーの待ち伏せの確率は低そうだが、何らかの罠が仕掛けられている可能性があるな。慎重に進もう。流生、銃の用意をしておけよ。」


「はい、分かりました。」


ホルスターから銃を取り出して、いつでも撃てる状態にしておく。


「流生と夕姫が前、俺と深夏が後で行こう。」


僕と夕姫が前を警戒しながら二列、影山さんと深夏が後を警戒しながら二列という配置で迷路を進んでいく。

マップ自体はあるのだが、言ったようにどこから罠が来てもおかしくないからだ。


中央の太い通路を進み始めてから、10分も経たない内にロボット4体に出くわす。

しかも、前後から同時に。

ロボットは9階のロボットとは外観が一緒とはいえ、ボウガンのような遠距離武器を装備しており、確実に強化されていた。


「やはり待ち伏せか!」


影山さんは強化されたコルトパイソンを撃ち、正確にロボットの機関部に命中させて沈黙させる。

僕と夕姫も遅れながらも前方のロボットに応戦する。

しかし、前方からロボットが1体、また1体と増えていく。


「これじゃあキリがないわね・・・」


通路の角の壁を盾にして矢を防いでいるが、このままでは数に押し切られる。


「一旦退こう!迂回して別のルートから進んだほうがいい。」


「分かりました!」


僕は発煙筒を前方に投げて夕姫と一緒に左右に接続している通路へ逃走する。

影山さんと深夏も既に逃げているようだ。

しかし、ここで異変が起きる。


壁が動き始め、僕達の退路を塞ぎ始めたのだ。


「ちっ、こいつら俺達に逃げるどころか、合流すらさせない気か!

流生!夕姫!地下7階への階段の近くで今日中に落ち合おう!

深夏は俺に任せておけ!」


「影山さん!」


ここで壁で完全に塞がれる。

どうやら、中央から左右に分断されたらしい。

中央からロボットが来る気配はない。

しかし、逆に言うと中央への道は完全に塞がれてしまったのだとも考えられる。


「夕姫、大丈夫?」


「う、うん。りゅうくんも怪我はない?」


「うん、大丈夫だよ。それにしても見事に分断されちゃったね・・・」


「そうね・・・。」


夕姫は肩を竦める。

まさか壁が動いて邪魔をするなんて予想していなかった。


「とりあえず、先を進みましょ。もたもたしてたら時刻を過ぎちゃうわ。」


僕の手を引いて、夕姫は走り出す。

地下7階への階段の近くで今日中に落ち合おう、そう影山さんは言っていた。

でも、左右の通路は複雑に入り組んでおり、急がないと階段までたどり着けそうも無かった。


「ちょ、ちょっと!危ないよ夕姫!何があるか分からないんだから!」








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