「お別れは晴れた日に」
離れたくないよって泣いてるのかな。
行かないでって泣いているのかな。
一人ぼっちにしないでって泣いているのかな。
雲ひとつない晴れた日のお葬式。
火葬場に向かう車が到着した時、
あんなに晴れていた空が急に広がる不安みたいに暗くなって、
大粒の雨が降り出した。
家を離れるのが悲しくて泣いているのね。
苦しくても涙なんか見せたことがないあなたが、
こんなにも泣いているのね。
雷鳴が轟く。
一人じゃないよ、離れたりなんてしないよ。
それでも止まない雨の音は強くなるばかり。
大雨の中、火葬場に着いた頃には雨は綺麗に上がった。
水たまりに光が反射した。
空には淡い色の虹が掛った。
やっと笑ってくれたんだね。
夏の終わりを告げる雨。
もうすぐ、あなたの生まれた秋が来るよ。