Episode 19: ポッドのした(クロ視点)
クロ、さむい……。
あさ、ボロアパート、さむい。
クロ、こたつの中で、ちいさくなる。
さむいから、クロ、ちいさくする。
修二、なにかつくってる……いいにおい。
クロ、こたつからぴょこん。
「修二、これ、なあに……?」
修二、キッチンでごはんつくってる。
クロ、そばにいきたい。
「クロ、危ないから、こたつで待っててくれ」
修二、やさしいこえ。
クロ、ちょっとかなしいけど、「こたつ……まつ!」ってこたつにもどる。
みんなでごはん、きょうもうれしい。
「じゃあ俺、バイト行ってくる」
修二、おでかけ……。
「じゃあ俺も、食材の買い物行ってくるな!」
流星も、おでかけ……。
敦史、しかくいはこのまえ。
「悪いなクロ。俺、調べものあるから、一人で遊んでてな」
敦史、いそがしそう……。
でも、クロ、アパートの中、自由にうごける。
クロ、たんけんする!
ボロアパート、たくさんへや。
クロ、いつも見るへや、たくさんある。
でも、したのへや……まだいってない。
さいしょにいたへや。あれから行ってない。
したのへや……行く!
した、くらやみ。
クロ、ちょっとこわい……。
でも、クロ、がんばる!
したのへや、ポッドある。
クロ、ポッド……しってる。
でも、ポッド、うごかない。
クロ、さわる。ポッド、ぴかぴかしない。
へや、なにもない。ポッドだけ。
クロ、ポッド……したのほう、さわってみた。
ポッドのした、ぱかっと……あく!
クロ、びっくり!
「クロ、みつけた……!」
ポッドのした、たくさんのもの。
クロ、みる。
かみ……たくさん。でも、クロ、よめない……。
かみのほかにも、なにかある。
でも、わからない。なんだろう?
かみ、かたいのもある。
クロ、それも、わからない。
ポッドのした、よっつ。クロ、ぜんぶみた。
ひとつめ、かみ。
ふたつめ、かみと……ちいさいもの。
みっつめ、かみと……かたいかみ。
よっつめ……クロ、みる。
「……?これ……流星!」
かたいかみ、流星のえ。
クロ、流星、しってる!
クロ、うれしい!
「流星、みつけた……!クロ、敦史、みせる!」
クロ、したのへやから、敦史のへやへ。
このかみ、みせる。
「敦史……!クロ、みつけた!これ、流星!」
敦史、びっくりしてる。
「……え?これ、流星の学生証だろ」
がくせいしょう……?
クロ、わからない。
でも、敦史、もっとびっくりしてる。
「クロ、したのへや……ポッドのした、たくさん……かみ!流星、あった!」
「ポッドの下?何かあるってことか?……行くぞ、クロ!」
クロ、うれしい!
「クロ、敦史、いく!」
ちょうど、流星、かえってきた。
「ただいま!……って、どうしたんだ?」
「クロが何か見つけた。地下室だ」
「地下?ポッドのあるとこ?……行ってみよう!」
クロ、流星、敦史、したのへやへ。
ポッドのした、敦史、みる。
「……本当だ。土台部分、開くようになってる」
「これ……俺の学生証!懐かしいな……。
って、他にも何かあるぞ」
「……これは、俺の昔の書類だ。
他にもあるが……総帥が持ってたやつだろうな。
ここに入ってたんだ、全く気づかなかった」
「多分……俺らに説明の時間なくて、そのまま格納されてたんじゃないか?
本来だったら、目覚めたあとに渡すつもりだったんだろう」
「見ろよ……修二の免許、これだ!」
クロ、びっくり。
「修二……めんきょ……? めんきょって、なに?」
「クロ、すごいぞ!これ、修二が探してたやつだ!」
「クロの大手柄だな」
クロ、うれしい……!
「クロ、みつけた……!うれしい?」
流星、クロ、なでなで。
「修二、絶対喜ぶぞ。クロ、よくやったな!」
クロ、もっとうれしい!
「クロ、がんばった!」




