第7話:赤ん坊、冒険者パーティの初任務!未知の脅威に挑む
俺が正式にレオンたちの**冒険者パーティ「鋼牙」**に加入し、早速最初の任務をこなすことになった。
「さて、改めて言うが、俺たちの目的はこのダンジョンの攻略だ」
レオンがパーティメンバーを見渡しながら話す。
「今いるのはダンジョンの中層部。この先にはさらに強力な魔物がいる」
「特に、今回の探索で確認されているボス級の魔物——**“魔獣王の影”**には要注意だ」
「魔獣王の影?」
俺が聞き返すと、ミレイユが口を開いた。
「ええ。記録によると、通常の魔獣と違って姿が曖昧で、影のように自由自在に移動するらしいわ。物理攻撃も魔法攻撃もほとんど効かないって噂よ」
「……なるほど」
この世界には様々な魔物が存在するが、物理攻撃も魔法も効かないとなると、対応が難しい。
だが、《万能錬金術》を駆使すれば、どんな敵にも対抗策は見つかるはずだ。
「ま、アークがいればなんとかなるだろ!」
レオンが豪快に笑う。
「頼りにしてるぜ、小さな天才錬金術師さんよ」
「……俺に頼りすぎるなよ」
俺はため息をつきながら、探索の準備を整えた。
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◼️ ダンジョン中層部:魔獣王の影との遭遇
パーティは慎重にダンジョンの奥へと進んでいく。
壁は黒く染まり、空気は不気味に淀んでいる。
「……何かいるな」
俺の直感が警鐘を鳴らす。
その瞬間——
「グルルルル……」
目の前の闇が動いた。
いや、正確には影そのものが意思を持ち、形を変えながら迫ってくる。
「っ!? 影が動いてる……?」
「これが……魔獣王の影か!」
現れた魔物は、まるで闇そのものが具現化したかのような不定形の存在だった。
巨大な獣の形をしているが、その身体は霧のように揺らめき、物理的な実体を持っていない。
「どうする? これ、普通の攻撃じゃ倒せねぇぞ?」
レオンが焦った声を上げるが、俺はすぐに対応策を考えた。
「影なら、光で焼き払えばいい」
俺はすぐさま《万能錬金術》を発動し、対抗手段を作成する。
——《光輝ポーション(ルミナスフラスコ)》生成!
手のひらに現れたのは、強烈な光を放つ液体の入った瓶。
これを投げつければ、影を物理的に消滅させられるはずだ。
「全員、目を閉じろ!」
俺はそう叫びながら、光輝ポーションを魔獣の影に投げつけた。
——パァァァァァァァッ!!
爆発的な光が辺りを包み込む。
闇を糧とする魔獣王の影は、光を浴びた瞬間、断末魔のような咆哮を上げた。
「ギャァァァァァァッ!!!」
「効いてる!?」
ミレイユが驚きの声を上げる。
俺はさらに追撃するため、新たなポーションを作成した。
——《聖炎ポーション(ホーリーフレア)》生成!
「レオン、こいつを斬れ!」
「おう!」
俺がポーションをレオンの剣に振りかけると、剣が黄金の炎を纏った。
「——これなら貫ける!」
レオンは燃え盛る剣を振りかざし、魔獣王の影に斬りかかった。
ズバァァァッ!!!
光の刃が影を引き裂き、魔獣王の影は苦しみながら消滅していく。
「……やったか?」
俺が警戒を解かないまま様子を見ていると——
「ギャアアアアアアア!!!」
魔獣王の影が最後の咆哮を上げ、その身体が完全に霧散した。
「……終わったな」
レオンが息を吐きながら剣を収める。
「おいおい……アーク、今の戦法、どこで考えたんだ?」
「考えたというか、単純な理屈だ。影は光で焼き払えばいい。それだけだ」
「それだけってな……普通、そんな発想すぐには出ねぇぞ?」
レオンは苦笑しながら、俺の肩を叩いた。
「やっぱりお前はすげぇよ。……俺たち、最強の仲間を手に入れちまったな」
「……頼りすぎるなって言っただろ」
俺は呆れながらも、どこか悪くない気分だった。
——こうして、俺の初任務は成功に終わった。
だが、俺はまだ知らなかった。
この戦いが、さらに大きな事件の始まりだったことを——。