第5話:赤ん坊、冒険者と共に最強の魔獣と戦う
俺はレオンたち冒険者パーティと行動を共にすることになった。
彼らはこのダンジョンを攻略するために訪れたらしいが、先ほどの黒鋼の巨人との戦闘で大幅に戦力を削られ、撤退を考えていたようだ。
「だが、お前が加わるなら話は別だな」
レオンは俺の実力を見て、探索を続けることを決めた。
「とはいえ、この先にはさらに強力な魔物がいるはずだ。慎重にな」
「ああ、分かってる」
そう答えた直後——
「グルルルル……」
低く響く咆哮がダンジョンにこだました。
「っ……来るぞ!」
——双頭の狂狼。
突如、闇の奥から飛び出してきたのは巨大な二つの頭を持つ狼型魔獣だった。
3メートルを超える巨体、鋼鉄のような毛皮、そして2つの異なる魔法を操る能力を持つ。
「……最悪だな」
俺はすぐに《万能錬金術》で戦闘準備に入る。
◼️ 戦闘開始! 双頭の狂狼
双頭の狂狼は、右の頭から高温の火炎弾を放つ!
——《爆炎魔法》!
「レオン、避けろ!」
俺が叫ぶと同時に、レオンたちは散開。
俺はすかさずポーションを取り出し、対処する。
《氷結ポーション(フリーズエリクサー)》!
俺が投げたポーションが空中で炸裂し、火炎弾と相殺する。
——ズシィィィッ!!
氷と炎がぶつかり合い、蒸気が発生する。
「魔法を打ち消しやがった……!?」
双頭の狂狼は一瞬動きを止めた。
その隙を突いて、レオンが剣を振るう!
「喰らえッ!!」
しかし——
ガキィィィンッ!!
「なっ……硬ぇ!!?」
レオンの剣は、双頭の狂狼の毛皮に弾かれた。
「くそっ……! こいつ、防御力が異常に高ぇぞ!」
「なら、装甲を削る!」
俺はすぐに《万能錬金術》を発動し、スライムジェルと酸性ポーションを合成する。
《金属腐食液》!
レオンの剣にポーションを塗布すると、刃が鋭く変質する。
「これなら……ッ!!」
レオンが再び斬りかかる。
ズバァァァッ!!
今度は双頭の狂狼の肩に深い傷が入った!
「効いた……!!」
双頭の狂狼は吠え、左の頭から雷撃を放つ!
——《雷撃魔法》!
「来るぞ!!」
雷撃が俺たちを襲う。
だが、俺はすぐに雷を吸収するポーションを生成した。
《雷吸収液》!
俺はポーションを床に撒き、雷撃を中和させる。
——バリバリバリィィッ!!
雷は完全に無効化された。
「……こんな方法があるのか?」
レオンたちが驚く中、俺は次の攻撃に移る。
「畳みかけるぞ!」
俺は**「爆裂ポーション(エクスプロードボム)」**を取り出し、双頭の狂狼の口に投げ込む。
「飲み込め!」
——ゴクンッ。
「……!?」
双頭の狂狼が驚愕した瞬間——
——ドォォォォンッ!!!
内部から爆発が発生し、双頭の狂狼の体が吹き飛んだ!
「やったか!?」
「いや……まだだ!」
爆煙の中から、ボロボロになった双頭の狂狼が現れる。
しかし、もはや立っているのがやっとだった。
「……トドメだ」
俺は魔石を錬金術で加工し、最後の一撃を用意する。
《雷撃ポーション(サンダーフラスコ)》——発動!
俺は雷の力を秘めた瓶を双頭の狂狼の頭に投げつけた。
——バリバリバリバリィィィッ!!!
雷撃が炸裂し、双頭の狂狼の動きが完全に停止。
そのまま倒れ込み、完全に動かなくなった。
「……終わったな」
——俺たちの勝利だ。
⸻
◼️ 大人たちの驚愕
「……お前、なんなんだ……?」
レオンが呆然とした声で俺を見つめる。
「5歳児の戦い方じゃねぇぞ……」
「いや、もう俺たちより強いんじゃねぇか?」
他の冒険者たちも信じられないという顔をしている。
俺は淡々と倒した双頭の狂狼の素材を回収しながら答えた。
「俺は……錬金術師だ」
「ハハッ……そうか。こいつは、とんでもねぇ化け物と出会っちまったぜ……」
レオンは苦笑しながら、俺の肩を叩いた。
「アーク、お前と出会えてよかったぜ」
こうして、俺は冒険者たちに**「戦士としての実力」**を認められたのだった。