第4話:赤ん坊、冒険者が苦戦する強敵と遭遇する
◼️ ダンジョン探索
俺は拠点を整え、最低限の生活が確立できたことで、次の行動に移ることにした。
「強くなるための戦闘経験を積む」ことだ。
このダンジョンにはまだ俺が見ていない強敵がいるはず。
そして、それらを倒すことで新たな素材を手に入れ、さらなる武器やポーションの開発が可能になる。
「さて……どんな奴がいるかな」
俺は武器と爆裂ポーションを準備し、慎重にダンジョンの奥へと進んでいく。
——すると、前方から人の声が聞こえた。
「……くそっ、駄目だ! もうポーションがない!」
「こいつ……こんな階層に出てくるはずがない!」
「撤退するしか……いや、もう囲まれてる……!」
——冒険者たちだ。
しかも、相当追い詰められている様子。
俺は岩陰から様子をうかがった。
5人ほどの冒険者たちが、一体の巨大な魔物に囲まれていた。
——それは、「黒鋼の巨人」。
通常、このクラスの魔物はダンジョンの最深部にしか出現しない。
しかし、今目の前にいるのは明らかに異常個体だ。
高さは3メートルを超え、全身を黒鉄の装甲で覆われた巨体。
腕は丸太のように太く、地面を殴りつけるだけで小さな地震のような衝撃が走る。
「ぐっ……防御が硬すぎる! 剣が通らない!」
「魔法もダメだ! まるで効果がない!」
「くそっ……もう終わりなのか……!?」
——このままでは、彼らは全滅する。
俺は一瞬迷ったが……すぐに決断した。
「試す価値はあるな」
俺は腰につけていた**爆裂ポーション(エクスプロードボム)**を取り出し、静かに距離を詰めた。
◼️ 強敵・黒鋼の巨人との戦闘開始!
ゴーレムは大きく腕を振り上げ、冒険者たちに狙いを定めている。
——あの攻撃が直撃すれば、確実に死ぬ。
俺はその瞬間、全力でポーションを投げた。
——ズドンッ!!
爆裂ポーションが炸裂し、ゴーレムの肩に炎が走る。
しかし……
「……効果が薄いな」
ゴーレムの装甲は予想以上に硬い。
通常の爆裂ポーションでは、表面の傷一つつけるのが精一杯だった。
冒険者たちも、俺の存在に気づく。
「お、おい……!? あの子供は誰だ!?」
「いや、そんなことより今の爆発……まさかあいつが!?」
「くそ、逃げろ! ここは危険だ!」
俺は無視して、次の攻撃を考える。
「なら、装甲を無力化すればいい」
俺はすぐに新しいポーションを生成する。
《錬金生成》——「金属腐食液」
このポーションは、金属を瞬時に腐食させる特殊な液体だ。
爆発でダメなら、「装甲そのものを溶かす」ことで戦う。
俺はもう一度ゴーレムの肩を狙い、ポーションを投げた。
——ジュワァァァァ……!
すると、ゴーレムの黒鋼の装甲がみるみる内に錆び、ボロボロと崩れていく。
冒険者たちが驚愕する中、俺はすかさず**「爆裂ポーション」**を再度投げ込む。
——ドォォォンッ!!!
今度は装甲の隙間から爆風が内部に入り、ゴーレムのコアを直撃!
コアが砕け、黒鋼の巨人は崩れ落ちた。
静寂が訪れる。
そして——
「……勝ったのか?」
「お、おい、あの子供……ゴーレムを倒した……?」
「信じられない……俺たちが全く歯が立たなかったのに……」
冒険者たちは呆然と俺を見つめていた。
俺は軽く息を吐きながら、倒したゴーレムのコアを回収する。
——新たな素材を手に入れた。
これで、さらに強力な武器を作れるだろう。
◼️ 大人との交流
冒険者たちはまだ俺を警戒している様子だったが、その中の一人——屈強な男が俺に近づいた。
「……助けてくれて、ありがとう。お前、一体何者だ?」
俺は一瞬考えた後、短く答えた。
「俺は……錬金術師だ」
「錬金術師? こんな子供が?」
「まあな。でも、今の戦いを見ただろ?」
俺が言うと、男は苦笑しながら頷いた。
「はは、確かにな……あのゴーレムを倒したんだから、文句なしに実力者だよ」
「お前、名前は?」
「アーク」
「そうか……俺はレオン・バルハイトだ。お前みたいなすごい奴に会うのは初めてだ」
どうやら、この男は冒険者パーティのリーダーらしい。
俺に対する敵意はなく、むしろ尊敬の目を向けている。
「このダンジョンで暮らしているのか?」
「ああ。ここが俺の拠点だ」
「……なんつーか、すげぇな、お前。普通なら即死するぞ?」
「まあな」
「ハハッ、気に入ったぜ」
レオンはそう言って、俺の肩を軽く叩いた。
——こうして、俺は初めて「外の世界の大人」と関わることになった。