第2話:赤ん坊、初めての戦闘でスライムを撃破する
ズズズ……
巨大スライムがこちらへと迫る。
半透明のゼリー状の身体が揺れ、内部では何かがグツグツと煮え立っていた。
——危険だ。
前世の知識を元に考えれば、スライムという生物は強酸性の消化液を持つことが多い。
その液体に触れた瞬間、俺の小さな赤ん坊の体など簡単に溶けてしまうだろう。
「……だが、弱点はあるはずだ」
俺は手に握った**「毒骨の短剣」**を見つめ、次の一手を考える。
◼️ 戦況分析
1.スライムの攻撃方法:おそらく「体当たり」や「捕食」
2.スライムの防御性能:柔らかく、刃物が効きにくい可能性あり
3.スライムの弱点:物理的攻撃より「化学的攻撃」に弱い?
「なら、炎か毒が有効か?」
俺は即座に《万能錬金術》を発動。
近くに転がっていた石を分解・再構築し、火薬を生成する。
《錬金生成》——即席火炎瓶》
手のひらに、小さなガラス瓶が現れる。
中にはスライムの体を焼き尽くす、炎属性の液体が入っている。
「……試してみるか」
スライムが跳びかかってくるのを見計らい、俺は火炎瓶を投げつけた。
ボンッ!!
小規模な爆発とともに、スライムの表面が焦げる。
ジュワジュワと煙が立ち上り、スライムが暴れ始めた。
◼️ 戦闘開始!
「効いてる……が、まだ生きてるか」
スライムは傷ついたものの、まだ完全には倒れていない。
むしろ怒り狂い、俺に向かって突進してきた。
——ここで躱せなければ、終わりだ。
だが、俺にはすでに戦闘計画があった。
火炎瓶が効いたことで、スライムの弱点が「熱」であることは確定。
ならば——
俺はすぐさま**「発火剤」**を作成し、自分の短剣に塗りつけた。
すると、刃の表面に淡い炎が灯る。
《炎の短剣》
「よし……これで決める!」
スライムが再び突進してくる。
俺はその動きをギリギリで回避し、瞬時に燃え上がる短剣を突き刺した——!
ジュウウウウッ!!!
スライムの体内で炎が爆発的に広がる。
内部の魔力核が熱によって暴走し、スライムは崩壊した。
——ドロリ、と。
スライムはただの液体となり、動かなくなった。
「……勝った、のか?」
初めての戦闘で、俺はダンジョンの脅威に打ち勝ったのだ。
◼️ 戦利品と今後の計画
倒したスライムの残骸を分析する。
《解析》開始。
───
【名称】スライムジェル
【成分】魔力を含む液体。耐熱性あり。武具の強化剤として利用可能。
【利用法】防具のコーティング、ポーション素材
───
「……これは使える」
この液体を加工すれば、火や刃物に強い防具を作れるかもしれない。
俺はスライムジェルを保存し、次の戦いに備えることにした。
——俺のダンジョンサバイバルは、まだ始まったばかりだ。