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(ユキ視点)
詰め所の中に入ると、ダンと呼ばれていた人が備え付けのテーブルの椅子に座る様に促した。
そしてダンが隅の棚から蒼い水晶を持って来てテーブルに置いた。
「其れじゃすまないが、此れに手を乗せてくれるか?」
「ええ、分かりました」
と言って水晶に触れると水晶は何の反応もしなかった。
反応が無いとは?と首を曲げていると、ダンが説明してくれた。
「よし、反応無しだな。
其れじゃ説明するが、この水晶は犯罪の有無を知らせる機能があってな、盗賊等の犯罪者が此れに触れると水晶が赤に色が変わるんだ。
犯罪の範囲なんだが、窃盗 強姦 殺人等などが当てはまる」
「なるほど。
ですがその人が犯罪者となる定義が分かりません。
例えば、ある人が殺しに来てそれを過って殺してしまったとしたら殺したく無かったのにやってしまった、でも殺人は殺人ですよね?この場合その人も犯罪者になってしまうと思うのですが?」
「確かに、そうなんだか・・・・・・・・・・・・まぁ嬢ちゃんには良いかな?
実はな、犯罪者認定してるのはその人物の称号で判断されていてな。
その称号は女神が認定して付けているとの事らしい。
俺達には分からないが身分証提示にも実は調べて居るんだよ。
調べている方法は秘密だが出入りする人物は身分証があっても分かる様になっている。
例外は有るがな」
と最後の言葉は小さかったが私には聞こえた。
最後の例外は今回の様に人が死んだらって事だと分かった。
そしてこの人はあの三人を信用していない事も分かった。
だから最後は聞こえないふりをして話しを続けた。
「そうだったのですね。
ですが私に話して良かったのですか?」
「ああ、本当はダメだがあんたはあの嬢ちゃんを助けてくれたからな」
「それだけですか?」
「其れが全部って訳では無いが、あんたなら大丈夫と思ったんだ。
其れから、あの子を助けて上げて欲しい」
「?意味が良く分かりません。
助けて欲しいとは?」
「・・・・・・あの子があの三人と組んでから日に日に弱って行ってるのがわかってな。
一度話しして見たんだが、大丈夫だと言ってその時は話しが終わったんだが、其れからは特に弱っている様子を俺達に見せない様にしていたんで俺達も何も言えなくなってしまってな。
だから俺達は毎回ただ仕事してあの子を送りだすしかなかった事がとても悔しかった。
昨日もそうして送り出せば、一歩間違っていればあの子が死んでいたかと思うと無理にでもあの三人と引き離せば良かったと思うし生きて帰って来てくれて良かったとも思うよ。
だから俺達にはあの子は助けられない、でもあんたならあの子を救える気がするんだ。
だから頼む!」
とテーブルに手を付き頭を下げた。
其れを見て、全くこの人達の事を頼れば良かったし大切にされてる自覚を持って欲しかったと思った。
だから私は、
「分かりました。
出来るだけの事はしますよ。
其れよりも、どうして其処まで個人を心配したのですか?
恋ですか?」
と半分冗談 半分本気で聞いた。
そしたら
「プッ、(ぷるぷる震えて)・・・・・・悪い、恋ってそんな訳無いぞ、強いて言うなら娘って所だし俺には、かみさんと娘が居るから其れは無いなぁ~」
と言われた。
まぁそうだろうとは思ったけど、聞いて見たかったので悔いは無い。
此れのお陰で空気が変わったので良かった。
その後二三話しをして終わったので、詰め所を後にしてエリシアと合流した。
「お待たせしました」
「ううん、大丈夫だけど少し時間かかったね?」
「ええ、誰かさんのお陰で追加の依頼を受ける羽目になりました」
とあの人達の心配の種に笑顔で皮肉を混ぜて伝えた。
案の定、「うん?追加の依頼?」と腕を組んで首を傾げていたので分かっていないのが丸分かりでした。
やっぱりとなり、あの人達も大変だったんだなぁと思うのであった。




