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(受付嬢 メリー視点)
夜中に宿から誰かが出て行く気配がしたのでその人物に気が付かれない様に尾行を開始しました。
暗闇でも私にとっては昼間と変わらず視えていますので問題無くついて行けます。
彼はどうやら門を出るようでしたので止めようかとも思いましたが隠密でついて行く事にしました。
どんどん門から離れて行くので流石に心配になり止めようと思った時に彼は、
「ざけんなよ糞女神、こっちの都合無視しやがって何が宜しくだ! 面倒くさかっただけだろが! コレだから長い事行きてる奴は困るわ! 今度あったら俺自らピーしてピーしてピーにして泣かす!!!!!!! 絶対に!」
最初彼が声を上げ口汚く言った様子が信じられなかった。
今までの様子から彼が此処まで言う人物には見えなかったから。
しかも女神に対しての暴言、神聖国では即異端認定からの処刑になるので気を付けて欲しいと思う。
彼がどの女神様に言っているのかは分からないけど危ういです。
そうして彼がスッキリしていたので近づいて行こうとしたら空が光り私は咄嗟に後ろに跳躍した。
跳躍して私は後悔した。
彼が逃げ遅れているのに気づいた時には光が彼を包んでいたから。
光がやみ彼が無事である事を願い彼の近くに泣きながら向かった。
付くとなっとか無事の彼がいて足から崩れ出しそうになるのを我慢して彼を連れて帰ろうと隠密を解こうとしようとするが待ったがかかった。
私も眼の前で観ながらも困惑が隠せなかった。
地面に突然文字が出てきたのだから。
そして彼と文字が会話をしている事に付いて行けなくなっている。
私も側に居るので文字は読めるし話は聞けるので聞くとダンジョンのスタンピードが起こる事とこの文字の方は女神様である模様。
ダンジョン関連の女神様はあの方しか居ませんので多分そうなのでしょう。
そうすると彼は御使い様なのでしょうか?
話が進み彼がダンジョンと女神様のお願いを聞く事で決着し彼は門の方に帰って行くのでホッとし私も帰ろうとすると眼の前の地面に、
「盗み見、聞きはモラル的にどうなのかしらね〜?
あの子は気づいて居ないみたいだけど私は出し抜けないよ。
それでやり取りを見て貴方はどうするの〜?
それとお節介を一つ貴方の悩みあの子なら解決出来るわよ。
コレを見てどうするかは貴方次第よ、沈黙さん。」
とこの方は全てお見通しで私の事も解っている様です。
何故か先程の様な不安が全くといって消えています。
やはり推測通りのお方なのでしょうが、伝承や教えは当てにはならないと思う私でした。
この方を信じて見ようと思い、私も門の方に歩くのでした。
去り際に新たな一文が書かれていた。
「頑張りなさい。 私の娯楽の為に。」
もしこの文字を見ればもしかしたら伝承や教え通りと思ったかも知れないが彼女がこの一文だけは見ることがなかった。
その辺はキッチリ弁えているダンジョンの女神であり、伝承では人類を拐かし人々を地獄へいざない其れに悦を得る邪神である。
教えでは、甘い言葉に乗るとダンジョンの女神に全てを喰われ最後には無になる。
等などと言われている女神は其れを逆手に取り自分の悦と可愛い子供達の為に色々画策していたりする。
またそう言う事が大好きだったりするので始末に終えなかったりする。
そうしてまた一人彼の駒になる人物を誑かしたのであった。
その事を知るものは誰もいない。