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僕らは不信感世代 感染症対策で翻弄されたので大人を信用していません

作者: ぶんかなっとう

 目の前の上司は何を言っているのだろうか。

 髪色を黒くしろ、長いのもダメだ。

 髪が黒じゃないと何が問題なんだ、長いと何故ダメなんだ。

 どうしてですかと質問しても、そういう世の中なんだとしか言わない。

 どうしてですか、外人とかハーフの人にもそうなんですか。

 言い訳はするな、アジア人は黒髪短髪のほうが信用されるんだ、お前は未熟で誰にも知られていないんだから最初が肝心だ、清潔誠実を前面に出していれば間違いない。

 スーツもグレーか濃紺が望ましいぞ、ネクタイは派手にするな、個性なんぞ出すな。

 はあそうですか、それで十分な給料がもらえるなら制服代として別途くれるんなら割り切りますけど。

 僕を制約できるほど、人生を保障できるほどの生活を送れる給料があれば喜んで受け入れますわ。

 でも、その常識のようなことがホントに正解なことなんでしょうかね。


 僕が子供の頃、小学校六年から中学まで世界的な感染症が蔓延した。

 親や教師は僕らにマスクをして登校しろ、授業中もだ。給食は無言で食べろ、運動会と学芸会は中止だ。

 小学校最後の修学旅行も無くなった。最初の頃は緊急事態とか言って学校も数か月なかった。

 自宅学習でやれ、外に遊びに行くな、友達とも会うな。

 その生活が一年ほど続いたが、感染は無くならなかった。

 二年目になると僕は中学校に入ったが、教師も同級生もマスクのままで顔と名前がいつまで経っても覚えられない。

 部活もマスク姿だし、昼も黙食が続き休憩時間は無音の時間でしかなかった。

 新しい友人もできることなく、同じ小学校の仲間とでしか集まらなかった。

 それでも行動力は広がったので、友人宅やなど家庭内ではマスクを外した姿でいることができた。

 三年目になったが感染は収まらないどころか亡くなる人が増えてきた。

 ああ、このまま四年目を迎え高校に入ってもこのままなんだろうと思っていた。

 ある日、国がマスクを外す方向にしていく、行動制限もしない、旅行支援もします、昔と同じ生活に戻しますと発表した。

 大人たちは喜ぶ半面周囲の空気を読みだした。自分が先頭をきってとか我先にマスクを外そうという感じではないようだ。

 教師は相変わらずマスク姿で授業をしているし、親も外出中は外さない。

 そうだろうなと思う、だった今までで一番の感染数と死亡者が出ているのだから。

 大人たちはワクチンを打っているのにかかわらず、しかも亡くなっている多くの高齢者は誰よりも早く多く接種しているはずなのに。

 僕らは任意での接種なので行動制限はしかたないと思っていたが意味のないものだったようだ。

 ワクチンで亡くなった人も数千人もいるような話も聞いた。しかも国は補償をする気は今後も一切考えていないようだ。

 もう子供の時より僕らは情報が豊富だ。

 中学になってすぐスマホを持つようになって世界中の情報がリアルタイムで入ってくる。

 翻訳アプリもあるし、動画も誰かがしっかり正確な訳をしてくれている。

 マスクが社会的正義なんだ、アルコール消毒は絶対だ、パーテーションがあれば安心とか言って全ての店に設置され、親は一生懸命消毒をしていたが僕はごまかしていた。

 なんでも空気感染が主で、それも口呼吸からで鼻呼吸なら粘膜でブロックされる。手で口から侵入して感染し症状がでることは一万分の1の確率だという話を聞いたからだ。

 マスク生活のおかげで僕らの学校生活や友人関係は実りの無いまま終わった。

 それに対する謝罪も償いもないまま、ハイ、元に生活に戻れますね良かったですね、と言われても納得できない。

 

 髪が黒いと何が問題なのか科学的に説明してもらいたい。短いと何度も散髪代がかかるが補償してくれないのか。

 科学的に立証され利益になるのなら喜んでそうしようと思うが、倫理道徳で制限し効果が無いことを強制させるのは納得できない。

 もうあの時ような時間を送りたくない。

 大人が生きる時間と子供が過ごす時間は、スピードや濃さが違うし取り返しがつかない。

 大人になって仕事を始めた僕だが、納得できないことははっきりと拒否する。

 もし認められないなら会社を辞めよう、こんな国を出てもいい。

 海外の方が給与がはるかに高く個人の自由を尊重してくれる。

 貧乏な国からの労働者は差別されるかもしれないが、僕は自由を選ぼうと思う。

 そんな外れた考えは僕だけと思っていたけど、どうも多数派らしい。

 多数派と言っても少子化世代なので絶対数は少ない。

 少ないから選挙で世代代表するような意見は実現できないからだ。

 たぶん僕らの前後五年の幅の世代は既に国を見限っている。

 大人は大人のための国を創ってください。

 僕らは外から見ています。

 

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