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幕間1.おや? 悪役令嬢の様子が……

 最近、コーネリアスの様子がおかしい。


「みなさん、ごきげよぅ」

「あら、コーネリアス様」「どうしたんですの? なんだかお声の調子が」「いつものあの高笑いは……」


 コーネリアスのか弱いあいさつにお嬢様方が驚いた様子で心配する。コーネリアスの高笑いがない学院の朝など、彼女が入学してからは一度もなかったことだ。

 そんな異常事態はその日だけでは終わらなかった。


「ゴッホゴッホ、すみません。わたくしお喉の調子が……。ですから朝の挨拶はご遠慮いたしますわょ」

「まあ、それじゃあ何を合図に授業を始めれば」「これは大問題ですわ」「誰か、誰か代わりに高笑いできる方はいませんの?」


 エースの不調に混乱する学院。しかしコーネリアスに頼りきりだったことが災いし高笑いキャラの育成を怠っていたツケがこのようなところで返ってきたのだ。

 いったいコーネリアスはどうしてしまったのか。


「いえ気分がすぐれないわけではなく、ただ突然ごえががらがらぢだっで、ゴホッゲホッ、カーッペ」


 苦し気に話していたコーネリアスは喉を詰まらせたかのように咳き込み何かを吐き出す。まるで喉に絡んだ痰を痰壺に吐き出す様な仕草であったが、まさかそんな、痰がよく喉に絡むようになるのは中年男性によくあることだがコーネリアスは学院に通う現役のティーンエージャー。そんなことがあるはずがない。


「ご心配お掛けして申し訳ありませんわ。きっとよくなって戻ってきますわょ」


 小さな壺を両腕で隠すように抱いたコーネリアスが健気にほほ笑む。


 そんな可憐な仕草に涙を禁じ得ない学院の生徒たちは去ってく公爵令嬢の背中をいつまでも見送り続けた。

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