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幕間3.悪役令嬢の暗躍 その2

 エルォウは失意の中で格子窓から外を眺めていた。

 小さな窓からは青い空しか見ることはできない。それでも彼の頭の中でこの晴天の下、無邪気に遊ぶ子供たちの姿がはっきりと描かれたいた。

 こんな狭く暗い世界も、同じ青い空がつながっているのだと思えばそれだけでエルォウの心は僅かに慰められる。


「本当に、それでよろしいのですわよ?」


 どこからか声が聞こえる。他に誰もいないこの留置所に、しかし少女の声が響いた。


「貴方を裏切った大衆に恨みはないのですわよ?」


 その声は悪魔のものであろうか。安らぎを、それが例え偽りであったとしても、確かに安らぎを得ていたエルォウの心に暗い火が灯る。


「いいわけがない、いいわけないだろう。僕は、俺は、ホビットを求めていた、あと少しだったんだ」


 その言葉を聞いた影がゆっくりとエルォウの前に姿を現す。

 コーネリアス・コーラ・コースレア公爵令嬢。決して表では見せない蠱惑的な笑みを浮かべ彼女は立っていた。


「貴方に魔法をお授けしますわよ」


 そう言って手渡してきたのは何の変哲もない油絵具。だがそれに触れただけでエルォウはすべてを理解した、そこに宿る魔力の意味を。

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