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コロナワクチンを打ちました  作者: @1031_tommy
6/7

4月10日土曜日(後半)

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午前10:43 · 2021年4月10日·Twitter for iPhone

色々痛い。

アセト200追加してなんとか眠れたがいまいち。

アセトのおかげか熱は出ていないものの汗が出ていないから、これは葛根湯案件か。とりあえず手持ちいってみる。

#ワクチン打ったらツイートしよう

(ツイートのコピペ:原文ママ)

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 10時過ぎ。接種後18時間を超えたところでこんな投稿(ツイート)をしているが、カロナール(アセトアミノフェン)を飲んだのは午前5時台、200mg追加したのは7時台だ。飲んでから5時間経っていて、もう効果は切れていただろう。とはいえ全身しんどくて頭は回っていないし時間感覚もおかしいから、薬のおかげで食事を取れるくらいには抑えたのだろうと思っていた。

 ベッドに行く前に2包目の葛根湯を飲む。急性期にはがんがん飲むべし。ある勉強会でそんな使い方を聞いてから実践すること4度目だ。寒気がしている間は数時間おきに内服して、汗が出たらやめる。確かに治りが早い気がするけど、自分のみのn=1で比較試験ができないのでなんとも言えない。葛根湯には身体を温め、発汗を促す作用があると言われているので、悪くはないはずだ。

 そんな暗示をかけつつ、ペットボトルのお茶と葛根湯を持ってベッドに戻った。関節痛もしんどいけど、全身を覆っている寒気のせいで身体が落ち着かない。布団をかぶっても寒いままで眠れないので、携帯からClubhouseを流してみたけど、まったく頭に入ってこない。楽しそうに喋っている声を聞いていると頭痛がしてきた。

 「マジしんどい」とツイートして携帯を放る。頭痛と右大腿の痛みが続いていて思考が奪われていく。人間には自然治癒力があるんだ、と思いつつも気を紛らすことができず、なるべく身体を動かさずに時間が経つのをやり過ごす。普段、オペ後の患者を回って「痛いですかー?」なんて聞いているけど、これだけしんどければ返事するだけで体力を消費するだろう。もちろん、つらそうなときは引くようにしているが、もう少し患者をみるようにしてもいいかもしれ、な、い……。つらい。

 12時を過ぎたが、変わらず全身がしんどい。楽になる気配はこれっぽっちもない。気休めにスマートフォンで鳴らしていた音楽はすでにタイマーで途切れていた。表層痛は相変わらず続いていて、身体がつらくて眠れもしない。熱を測ろうとして体温計を探すために頭を動かすと、ワンテンポ遅れて脳の中で痛みが動いた。これが結構強くて、何も考えられなくなる。布団の中で10秒ほど息を止めて、じっと動かずにやり過ごした。

 体温計は37.3度を示していたけれど、依然として発汗はなく、寒気がして足先が冷たい。痛みが強く朦朧とした頭で、本日3包目の葛根湯をペットボトルのお茶で流し込んだ。さっきのツイートに「大丈夫か?」という返信がついている。たかだか0.3mlの液体を身体に入れただけでこんなことになるとは。mRNA恐ろしい。

 しかしこれ、本当に80代にも打つんだろうか。高齢者優先で打っていくと言っているが、元気な80代ならまだしも、普段自分たちが接しているような基礎疾患ありありの体力ぎりぎりの80代だったらどうなってしまうんだろう。化学療法やってる人もスケジュール組めるだろうか。


 頭痛がひどい、寒気がする、という繰り返しで、13時にカロナールを600mg、14時過ぎに4包目の葛根湯を飲んだ。体温は38度ちょっとをウロウロしていて大きな動きはない。カロナールがある程度効いていてこの体温になっているのだろうか、それとも全く効果がないのだろうか。一時37℃台になったものの、身体の辛さは全然変わらなかった。そして頭痛も治まらない。ペインスケールで表すと変わらず4~5といったところで、カロナールによって軽くなっている印象はなかった。37℃のときは、うまく体温計がはまっていなかっただけかもしれない。

 足先の冷えは変わらず、全身に悪寒が走っている。もうこれはNSAIDs使ってしまおうか。だってインフルエンザじゃないし。頭痛にアセト全然効かないし。そんなことを考えつつ、ベッドで意識朦朧としながらまたスマホで音楽を流し、少しのあいだうとうとした。


 暑い。全身からじっとりと汗が出ている。30分タイマーにした音楽が知らないうちに切れていたので、少しは眠れたのだろう。携帯を開こうと手を伸ばして、はっと気がついた。

 身体が楽になっている。

 体温計は38.5度を示していて、今日一番の発熱だった。頭を動かすと頭痛は続いているものの、寒気がないだけでぜんぜん違う。やっとピークを過ぎたようだ。あとは楽になっていく、はず。

 汗が出たので葛根湯はここで終了にする。しかし葛根湯すごい。漢方は効果が緩やかだから、とか言う薬剤師もまだまだいるけど、症状と使い方によるんだよ。インフルのときもガンガン飲んで辛さのピークを1日で終わらせることができた。まあ、飲まなくてもこの時間に汗が出てきたのかもしれないけど。

 食思が上がってきたので、剥いておいた伊予柑を食べる。冷やしておいた柑橘系が心地よく口を潤していく。おにぎりといい伊予柑といい、前日に仕込んでおいた自分を褒めてやりたい。とはいえ、頭痛と関節痛は続いていて、強さも変わらず全然引いてくれない。体温もずっと38度台だ。汗が出始めてから楽になったとはいうものの活動できるほどではなくて、動く気はさらさら起きなかった。アセトアミノフェンだめじゃん。今日一日でどれだけ飲んだかわからないけど、効く気配がまったくない。……これ製剤見本とかプラセボとかじゃないよね。

 19時。汗が出始めてから4時間経つけど、頭痛も熱も引かない。もう我慢できない。ロキソニンを飲んでやる。

 それから30分もしただろうか。気づいたら痛みが引いていた。すごい。薬ってすごい。ペインスケールで0.5~1くらいになった。ロキソニンすごいじゃないか。ここ100年の人間の科学力、改めて感心する。点滴ができるようになって、麻酔できるようになって、人を切り刻む(そして戻す)ことができるようになって、そりゃ寿命は伸びるよなあ。輸液がなかったら乳幼児の下痢からの脱水で衰弱、死亡、なんてストーリーはいまでも起こりうる。ロタウイルスもRSウイルスもワクチンができたし、今回のコロナに至っては、風邪のワクチンができたら大発明、と言われてきたジャンルに立ち向かっている。このコミナティも発症や重症化リスクを大きく減らすことができると言われているが、まだこれから発展するのだろう。そのとき自分は生きていないかもしれないけど。いや、去年出た勉強会で、コロナワクチンができるのは早くても2年がいいところではないか、という専門家の見解だったところ、1年でできてしまったのだから、意外と早いかもしれない。

 ロキソニンを飲んでからは動く気力も出てきたが、まだがっつりした食事をとる気分にはならず、お粥に生卵という病人食をとった。色々やりたいこともあるけど、完全に病み上がりの感触で、おとなしく横になってClubhouseを流しながら寝た。


 翌朝起きたら8時半だった。いやはや、寒気がないだけでこんなにすんなり眠りに入れるのか。目覚めの感触もぜんぜん違う。体調が悪すぎると熟睡するのも難しいのか。

 体温は36.5度だった。起きたときに肩が冷えていたのでなんとも言えないけど、普通の感覚に戻ってきたのがわかる。接種部位にはまだ鈍い痛みがあるけれど、きっと今日は大丈夫だろう。のんびり食事をとってから、ドラクエウォークを起動して家の外に出た。

 天気が良くて、日差しが心地よかった。



私が死んでいるあいだ仕事に行っていたツレに欲しいものはないか聞かれたので、「ぜりーとか」と答えたら、たらみのゼリーをたらふく買ってきてくれました。

おいしかったよ!


(参考)

輸液製剤協議会 https://www.yueki.com/history-2/

お薬Q&A 〜Fizz Drug Information〜  https://www.fizz-di.jp/archives/1078840555.html


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