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コロナワクチンを打ちました  作者: @1031_tommy
3/7

接種翌日夜~翌々日

 夕食の途中から、体調が悪くなっているのを自覚した。そこはかとなく気持ち悪い。メニューはヤマトイモをすりおろしたとろろご飯に、ナガイモ入りの卵焼き、あとは味噌汁くらいだったが、胃腸に負担のかかるメニューではない。むしろヤマイモは消化酵素が十分含まれた天然の胃薬だ。漢方では山薬といわれて滋養強壮にも使われていて、栄養素はジネンジョほどではないが、ヤマトイモとナガイモも悪くはない。なんとか時間をかけて食べようとしたが駄目だった。どうしても食が進まない。同居人は問題なく食べているからこの料理が原因ではなさそうだ。

 こういうときは無理に食べないほうがいい。片付けを任せて横になったが、徐々に悪心がつよくなってきた。まだ吐き気までいかないけど、そのうちに来るかもしれない……、と思っていたら別の波が来た。下痢だ。

 0時ころからトイレとベッドを行き来していた。吐いたら楽になりそうな気がして、便座の前にしゃがんで、口に指を突っ込んでみたものの吐き出すところまでいかなかった。

 昼に食べた海鮮丼が目の前に浮かんだ。

 ……胃腸炎か? 

 トイレに籠もったり横になったりを繰り返していたら、あっという間に2時を過ぎた。明日(というかもう今日)は当直だというのに。

 繰り返すが28時間拘束なので、こんな眠れもしない状況で働くことになるのが恐ろしかった。頭はぼんやりして回らないだろうし、翌々日まで体力が持つかというのも不安だ。そんな状況で仕事をして、処方ミスをスルーして患者に悪影響が出てしまったら、最悪殺してしまったら、会社は擁護してくれるのだろうか。

 途中で数回トイレに起きながらも、そこから断続的に6時まで寝ることができた。時計を見てもう1時間眠ろうと思ったが、顔が火照っている感じがする。ここ3か月以上続いている頭痛もひどかった。頭が重いのは睡眠時間が足りないからだろうが、これはもしや、と、体温計に手を伸ばした。去年から会社に強制されるようになった毎朝の体温測定だが、肩が冷えているだけでだいぶ出てくる温度が違う。だがいまは、きっとそれを超えている。

 果たして出てきた体温は37.9度だった。微妙!

 しかし、37.5度以上だったら出勤停止、というコロナルールができていたため、これで私は出勤できなくなる。半分ほっとしつつ、もう半分は、厄介なことになったな、という思いが隠せない。休日の出勤人数は限りなく抑えられているため、代わりの人間を見つけなければならないのだ。出勤時間となる8時半までに。

 とりあえず薬剤師の3分の2が入っているLINEグループに熱発したことと代わりに当直できる人のお願いを流す。7時を過ぎたら病院に電話して、当直者に熱発したことと、とにかく行かないことを伝える。続いて薬局長に連絡したら、カロナール飲んで30分後に電話して来いと返事があった。熱による辛さはそこまでなかったから、アセトアミノフェン(カロナールの成分名)を飲んだところでたいして変わらないだろ、と思いつつも、頭痛に少しは効くかな、という思いと、薬局長命令だったので仕方ない、と諦めて、ワクチン接種時にもらっていたカロナールを飲んだ。

 とはいえ、これで熱が下がったとしてももはや出勤したくない。ぐったりしつつ30分を待つ間に、日勤部分なら大丈夫だよ、という人と、当直部分ならやれるよ、という人が名乗りを上げてくれた。ほんと助かった。とはいうものの、自分の当直予定を変わってもらったら、相手の該当部分をもらわなければならない。それはそれで若干憂鬱になる。くそ、2つの意味で頭が痛い。しかし、みんな休日の朝からよくLINEなんてチェックしてるな。おかげで助かったんだけど。

 胸を撫で下ろして、ふたたび横になる。昨日の勤務後、休憩室のソファーでへばっていたのは、単に勤務が続いて体力が尽きただけだと思っていたけど、もしかしたら、このときから体調が悪かったのかもしれない。

 時計を見つつタイミングを待っていたら、20分ほどで薬局長から電話がかかってきた。副反応の可能性もあるけど、発熱の他に、下痢、嘔気、頭痛があって、感触としては胃腸炎かな、ノロのときよりはひどくない、という現状と、休むことと代わりの人の報告をして、再び眠りについた。


 で、起きたら昼過ぎだった。よく寝た。

 夜眠れていなかったので当然か、と思いつつも、軽く水分をとってまた横になった。熱は引いていた。


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