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コロナワクチンを打ちました  作者: @1031_tommy
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1回目の接種~翌日


 全身がしんどい。さっきカロナールを400mg飲んだのに、楽になる気配がこれっぽっちもない。気休めにスマートフォンで鳴らしていた音楽はすでにタイマーで途切れていた。筋肉痛とも関節痛とも違う、皮膚のちょっと下あたりに痛みがあって、身体がつらくて眠れもしない。熱を測ろうとして体温計を探すために頭を動かすと、ワンテンポ遅れて脳の中で痛みが動いた。これが結構強くて、何も考えられなくなる。布団の中で10秒ほど息を止めて、じっと動かずにやり過ごした。

 体温計は37.3度を示していたけれど、依然寒気がして足先が冷たい。痛みが強く朦朧とした頭で、本日3包目の葛根湯をペットボトルのお茶で流し込んだ。


#1回目の接種

 2020年初頭から何かと世界規模の話題をさらっている新型コロナウイルスのワクチン接種が医療従事者を皮切りに始まり、私の勤めている病院でも2021年3月中旬から職員への接種が始まった。

 接種するのはP社の「コミナティ」で、1回目の接種後、3週間後に2回目を打つことになっている。翌日に副反応が出ることが多いという前情報があったため、金曜と土曜に接種者を集めて、6週間で接種し終わるように予定が組まれていた。薬剤師の接種日は土曜日にあてがわれていたが、私は学会や当直の都合で、3月19日金曜日に接種してもらえることになった。

 第一陣で接種した職員からは、「全然痛くない。インフルのほうが痛かった」という声が多かったものの、腕が上がらないとか、打った方の腕を下にすると痛くて眠れない、など、翌日の接種部位反応は一様にあるようだった。まあ、筋肉に針を刺しているのである程度の炎症を起こすのは妥当なところだろう。

 ちなみに、院長を始めとしたお偉いさん方が第一陣だったのだが、接種が行われたのが3月12日金曜日で、入庫したのは3月11日木曜日の午後、という非常に不安となるスケジュールだった。病棟の仕事が一段落ついて薬局に降りてきたときに、ちょうどヤマト運輸がワクチンを運び入れているところに出くわした。人間ふたりくらいは入りそうな仰々しい箱をふたつ、台車に乗せて薬局長とやり取りしていたので、通りがかりにブログ用の写真を撮らせていただいたが、総務の人たちも4~5人張り付いていて動画や写真を撮っていた。おまえら暇か。


 さて、3月19日午後4時45分に無事1回目の接種を終えた。注射針を3センチほど刺し込まれているのに、痛みはそれほど感じなかった。噂どおり、インフルエンザワクチンの方がはるかに痛い。

 副作用や危険性ばかりを取り沙汰するマスコミのおかげで、効果がどの程度あるのか、打ったほうがいいのかと看護師にも散々聞かれたが、ただひとつ、人類が本気で立ち向かった結果のワクチンであることは間違いない。駄目だったら人類が滅ぶだけだ。


 翌3月20日土曜日、コミナティの調製部隊として駆り出されていたため、朝7時半から休日出勤していた。

 いま休日出勤と書いたが、厳密には出勤でなく時間外扱いだ。本当は代休のほうが嬉しいのだが、薬剤師が足りないから、という理由で、土日に仕事をしても代休はもらえない。休日当番や当直も同様で、白衣を着て薬局に縛られているのに、普通に看護師からじゃんじゃん電話がかかってきて対応しているのに、ルーチン業務は普通にあるのに、あくまでも時間外扱いで勤務ではないということにされている。感覚としてはオンコールに近く、小中学校の教員が当直しているのと同じ扱いなのだろう。募集要項には土日祝日が休みと書いてあったのに詐欺にならないのだろうか。

 こういう愚痴が上の耳に入ると「人がいないって言ってんだろ」と怒られるが、お前らが回せるシフトを組めていないからだろう。業務の効率化や取捨選択もできていないから人が足りなくなるのだ。ゆえに、「人が足りない」を理由に現状維持を続ける上司も会社もクソだと思っている。そもそも入院患者がいるのに土日を休日としている組織側に問題があるのでは、という突っ込みも聞こえてきそうだ。

 閑話休題。いつもの出勤より1時間早いのは、8時半からワクチンを打ち始めるので、間に合うように準備するためだった。いや、9時半から接種開始でよくない? さらに、例年インフルエンザワクチンは看護師が準備しているのに、コロナワクチンを薬剤師が担当している理由もよくわからない。看護部なら代休も出せるだろうに、なぜ薬剤師が割を食わねばならないのだ。眠い。

 腑に落ちない部分は多々あるが、組織の決めたことなので仕方ない。眠気もあり黙々と生理食塩液で希釈してシリンジに取り分けていく。支給されたシリンジも、海外のものなのか目盛りに1/2なんて書いてある部分があっていまいち慣れない。1.8ml吸い上げるところを1.3mlで希釈しそうになって、隣の人とのチェックで指摘される。

 この日は300人分を4人の薬剤師で調製する予定だった。1バイアルの薬を1.8mlで希釈して0.3mlずつに取り分けるので、理論上は6人分取れるはずだが、針の体積やバイアルの壁面にくっついて取り切れない部分もあり、6本目が0.27mlしか取れないなんてことが多々起こっていた。とはいえ1バイアルから5人分取れればよいという計算でやっているので、なんとかなる。



遅筆なのでぼちぼち書かせていただきます。

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