掴んだ枝。
つぶらな瞳で、もうすぐだよって。
季節を告げる鳴き声は。
誰の目にも映らないように。
それはまるで春の蝉みたいだ。
歴戦のカメラマンでさえ見逃すほど。
頭上ーー遥か高く、ぴーちくぱーちく鳴く雲雀でさえ。
近場に訪れた公園は、まだ。
咲き乱れる梅の花はまだ五分咲きぐらい。
どうにかして捕らえたい。
もうすぐ、バッテリーが切れるだろうから。
ちゅぴちち。
ちゅぴちちちち。
たしかに聴こえる、そこにいるから。
赤い景色のなかで、目立つわずかな緑色。
やがて飛び立つその勇姿に、ブレた画像だけが鮮明に。
誰も気にしてやいやしない、羽ばたくメジロの姿を。
遠く、遠くに。