ねごと⑥ 約束もしてない約束みたいに
阿倍カステラ、ねごとで吠えろ。
量産型、凡庸カステラ多角的に展開中!
僕は何者でもない。ただのカステラさ。
僕は何ももっていないのさ。
だけど信じたい。
『象のレースと彼女のミルクティー』
いまはこれにすべてを懸けている。
生きることとおなじ意味をもつのさ。
生きる意味なんてとうに失くしていた。
僕はそれを誰かのために生きることと同義としていたから。
もう僕には何にも失くなってしまっていた。
からっぽになってみて思う。
からっぽになるって、一般的に、どんな感じなんだろうって。
僕の今の状態を、言葉にすれば良いようなもんだけど、それは僕の主観でしかないないわけだから。
僕は物語を描いたんだ。
生きる意味を失くし、何も持たない男が、どうしようもなくじゃなく、生きていくとしたら。
どうしたらいい?
こんなことは、一般社会では誰も教えてくれない。
だから僕は空を見上げたんだ。
はるか上空、雲の親子を眺めながら。
僕がまちがっていないのなら、象がきっとその先へ導いてくれる。象の鼻先を僕は信じてみる。
僕がたとえまちがっていたとしても、彼女がダイニングの椅子に座って待っててくれる。彼女とミルクティーを飲み、一緒に笑ってみる。
はるか上空。
雲の親子はいつも見てくれてる。
とくべつに何をしてくれるわけではなくとも、いつもそこにいてくれるだけでそれでいいんだ。
約束もしていない約束みたいに。
阿倍カステラ初の長編小説
『象のレースと彼女のミルクティー』
web連載で更新している同作品も、後半に突入し物語も佳境に入っていく(一部サイトでは遅れあり)。
今回のねごと、として。
もう一度くりかえしてみる。
いまはこれにすべてを懸けている。
生きることとおなじ意味をもつのさ。
読んでくださってありがとうございました。
次回、ねごと⑦をお楽しみに。よければ応援よろしくお願いします。