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小説家になりたいというねごと  作者: 阿倍カステラ
2/6

ねごと② こぼせこぼせ

 量産型。凡庸カステラ、一般販売スタート。ご賞味あれあーれ!


 このねごと②の本編は「どれくらい振りだろうか?」からはじまる。その前に一小節。


 これは少しまえに書いたものに、つい昨日、追記したもの。だからどうした、ということはないが、ただなんとなくそうした方がいいと思い説明からはじめることにしたまでのこと。三拍子の一小節おしまい。


 どれくらい振りだろうか?ほんと久しぶりに村上春樹著『ノルウェイの森』上・下巻を読み返した。



 2019年8月16日の17時15分。


 読み終えた瞬間に僕は「ふう〜〜っ」と恐ろしく長いためいきをついた。


 僕が2019年8月16日に読み終わった『ノルウェイの森』は、1986年12月21日にギリシャ、ミコノス島で書き始められ、1987年3月27日にローマで完成した、とあとがきに書かれていた。


 僕の2019年8月16日は、その日の17時15分のためいきにもっていかれた。いいや、その日ばかりじゃない。この何ヶ月間の月日が結託して束になって飛びかかったって、その日のためいきには敵わないだろう、と気持ちよく承認するしかなかった。



 ひどく空腹だった。事実、これを書きながらお腹が鳴った。この日、朝から何も食べることなくずっと『ノルウェイの森』を読んでいた。まるで『ノルウェイの森』を読むことが空腹を満たしてはくれないことを知らないみたいに読み続けていたのだ。


 でも休みなくずっと読んでいたわけではない。僕は並行して小説を書いていた。書くことに行き詰まると本を読み、一定時間読み続けると休憩を取るように小説を書くことにシフトした。それをずっと繰り返してた。


 そしてようやく『ノルウェイの森』を完読してからも、すぐさまこれを書き始めたことが象徴してるように、この何ヶ月間、具体的には2ヶ月くらいの間、僕は書くことと読むことにほぼ毎日を費やしていた。




 僕は今、初の長編小説を書いている。


 長編と言っても原稿用紙250枚程度のかるめのものなのだけど、初体験の僕にとっては途方もない旅のように感じられる。しかも荷物も持たず無一文で旅をしているも同然なのだ。


 やりたいことも出来ず、やりたいようにやれず、曖昧模糊とした雲を追いかけ回しているように続く旅を僕は続けている。やりたいことが出来て、やりたいようにやれる旅ならどんなに素敵な旅になったろう。ギリシャからローマへ。そこまで飛躍しないまでも、もう少し贅沢な旅がしたいもんだと思わずにいられなかったが、何も愚痴っているわけでもない。途方もない旅もまた、わくわくして楽しいものだ。展開次第では何が起こるかわからない。


 そんな僕の旅は、というか比喩をやめて、そんな僕の長編小説は、〆切まではまだ2ヶ月ちょっとある。まだまだ旅は続く。


 僕は小説家になれるだろうか、と考えてそれについての思いを書こうとしてやめた。あまりにくだらないことのように思えたからだ。



 宝くじは買わなければ当たらない。先ずは宝くじを買わないことには始まらない。宝くじを買えばそれは当たる可能性があるということだ。その確率が天文学的数字だとしても。


 おなじように、小説家になりたいと願ったり思いを語ったりするより、小説を書くことの方が小説家になれる可能性があるということだ。その確率が天文学的数字だったとしても。


 だからここで語ることも、少なからず覚悟がいるということだろう。僕が書き上げた長編小説が全く話にならないという場合もあるからだ。



 でも怖がってちゃなんにもできないよな。


「やるかやらないか」より、「やってどうするか」だ。


 常に考えながら前に進むしかない。キャラメルを食べるのはだれにでもできるように、それはだれにでもできることだ。包み紙をはいで口に入れるだけ。包み紙はゴミ箱にぽい。




 寝ても覚めても見る夢はねごとを言うには最適だ。


 ある一定の分量以上の覚悟をもったねごとなら快適な一日が過ごせそうだ。


 思いよあふれだせ、こぼせこぼせ。



つぎの「ねごと③」をお楽しみに。

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