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夢の音

作者: ひまわり

平屋の家の台所は、窓に面していて、

とても大きい洗い場だった。

土間から上がったところにあって、

冷たい湧き水が流れるように

なっていた。


何年か前までは、土間にある釜戸を使い、

瓶に井戸の水を溜めていた。

西瓜を丸ごと冷やすのに、

ちょうど良かった。


蝉が飛び込んできたり、

蜻蛉が留まっていたり、

夜には甲虫の類が電球に当たった。

懐かしいというよりも、

それでいいじゃないかという

台所だった。


平屋の家の台所で、卓袱台を出して、

ご飯と味噌汁を食べていた。

取れたての瓜やトマトを

切って食べていた。

食事はそれぐらいだった。


どれくらい経ったのか。

自分の年を差し引きしてみた。

ほんの数十年しか経っていないのに、

沢山の人がいなくなって、

平屋の家もなくなっている。


その大きい洗い場には、

冷たい湧き水の音とともに、

夕焼けの音も流れていた。

あれは、たぶん誰にも伝えられない、

夢の音だった。

今更ながら、

それでいいじゃないかという

台所の……音だった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ぼくも田舎育ちなので共感できる情景です。あと、何だろう、お粥?の滓みたいなちょっと水臭い匂いがしましたよね? [一言] 僕の小説も感想くださいね。
2019/07/21 10:11 退会済み
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