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いずれ消えゆく神話の彼方  作者: 逢色 しゃうん
第1章 デスワールド
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1話 「デスワールド」と言う名の世界

人は必ずしも死ぬ。




それが病であっても、




寿命であっても、




なんであっても同じだ。




だがそんな世界の秩序から1人外れたものがいた。




死んでも何処かへ転生し、




何度だって死ぬことはない、




そんな男がいた。





######




ここはどこだろうか?




だかそんな疑問もすぐ薄れる。




どうせまたどこかへ転生しただけのことどうってことはない。いつものことだ。




辺りを見回す。どこもかしこも真っ白で終わりのないようなところだ。今まで何百何千と転生して来たがこんなところは初めてだ。




すると目の前に1つのシルエットが浮かぶ。それはだんだんと形を成していく。10秒もすればキレイな人型へと形を成していった。




「やあやあ瀬山厳くん!異世界旅行ライフ楽しんでる?」

「まぁな。そうか、ここは神界地か。」




そうやって厳は何千年も前のことを思い出す。俺はせやま いつく。地球に住んでいた唯の高校生だった。だがある日交差点を右折して来たトラックに轢かれ敢え無く死亡。




死んだかと思ったら真っ白なところにいて、

自称神のイケメン野郎に実験のために転生をさせると言われ何回も転生をしていた。




「で、何千年の月日が経てはるばる何の用だ?」

「え?なんか怒ったりしないの〜?フツー君みたいに転生者になった人ってほとんど壊れるのに精神強くない?」




確かに、




何回も死んだ。




何度も戦いを見たし、




何度も屍を見たし、




何度も世界の崩壊を見た。




だけど……だからこそ……




「世界の平和を見て死ぬとなんかすっごい安らかなんだよな」




そう、良くないものをたくさん見たがそれだけ良いものも見た。世界の平和を見たのだ。




それと……。そこまで厳は考えたが思考を停止する。



「君にはね、ある世界を救って欲しいんだ。僕の……神の使いとして。神の使いになるには、色々条件があるわけ」

「じゃあ今までの転生は、このためのものだったということか?」

「そーゆーこーとー」

「全部伸ばすな」




そうすれば全て繋がる。転生させた理由、何回も転生した理由。その他諸々も。




「そうなのさ!ここからが君の本当の仕事ー!」

「無駄働ってことか」

「そう言わないでってー!だってずっと生きれるんだよ!楽しいこと色々あるんだよーー」

「まぁ別にやらないとはいってない」

「あと……セレア……ごめんね。本当に……。」

「気に……するな。もう乗り越えてるし、あいつのおかげでここに俺がいるんだから、あいつの願いだから」




そう目を閉じる。遠い日の思い出とあいつの笑顔が重なる。




「で、どんなところなんだ?」

「それは向こうに行ってから教えるよーーー!頑張ってねーーー!あと……あいつらにも気をつけること」




能天気な声からすぐに真剣で圧力のかかった声に変わる。




「ああ任せろ」




問題はない。




幾度と世界を見た。




幾度と世界を渡った。




幾度と世界を飛んだ。




今回も同じ、そう楽しむ。




体が白く煌びやかに輝く。そして包み込まれていく。




人生ってこんなに長かったんだな。

そう思うことがある。だが……人生の長さは誰かが決める者ではない。そう思えた。幾多の世界を見て。あいつに教わって………。




「よし、じゃあ異世界旅行と行こうか」




そして始まる。厳の神話が。




######




音がする。綺麗な音だ。優しく、澄んでいて思わず息が漏れ出る。目を開け、周りを見渡すとそこには………。




揺れる木々。

木々の間から漏れ出る光。

俺を包み込むように生える草。

そして自分の真上で光るもの。

これは…………。




「え!っえ!オ、オーブ!?」

「わ、私はオーブじゃないーー!」




沈黙が厳を襲う。何故ならそこには、紛うことなきオーブがいるのだから。

そして1つの結論に至る。




「いや、オーブだろ」

「だーかーらー違う!私は……そう!妖精!可愛い妖精!少しくらいなら愛でてもいいんだよーーー!」




そんな今わからない妖精がビシビシと指をさしながら(たぶん)説教をしてくる。




「私は、ゼムリス様の妖精テネリー!リピートアフターミー!テネリー!はいっ!どうぞー!」

「はぁ!?」




何だこいつ!どこぞのネタ引っ張ってこんでええわ!……というツッコミを入れるのを一生懸命ガマンし、その妖精を……いやクソウザ妖精を睨みつける。




「わかったから。で、妖精。何だここは?」

「もう!堅いなー厳は!肩の力抜いてぇーーー!」




あの能天気クソ野郎イケメン自称神の妖精だから、どんなうざいやつなのかと警戒しておけば、予想以上のウザさで……いけない。怒るな冷静になれ!そう自分に言い聞かせる。




「うるさい。早くしろ。」

「もうーあっ!実は厳!ツンデレ!……なのね。無愛想のフリして……本当は……。」




あーうざい。こいつガチでぶっ飛ばそうかな。そう、拳を握ると妖精は慌てた様子で厳をなだめる。




「ごめん、ごめんってー!わかった。ちゃんと説明シーマース。」

「やっとか、早くしろ。」




ふぅ。やっとイライラせずにすむ。そう厳が思ったのもつかの間。



ぐぅぅぅぅぅ

小さな妖精には大きすぎるような音だった。




「あーお腹すいたー!そうだ!ゼムリス様にもらった、サンドウィッッチー!があるんだった!食べよ食べよー!」

「はぁ?」





何故お腹がないのにすくのか、何故お腹がないのに音がするのか、

どこから持ってきたのか。サンドウィッチがプカプカと浮かんでいる。するとひとりでにはじから無くなっていく。




「美味しー」

「…………」




厳は思った。あっ、こいつやばい。



厳は思った。あっ、逃げよう。



そして厳は1秒後に走った。




######




走った。しかしわずか3秒で追いつかれるとは。不覚だった。あの能天気イケメン自称神の妖精である、テネリーに勝てるわけがなかった。




そして不覚だった。あの能天気イケメン自称神が俺をこの世界に飛ばす時、ものすごくにやけていたことを忘れていた。




こうして厳は小さな、そしてウザすぎる妖精を横に冒険に出る。




後に知る、この[デスワールド]と呼ばれるこの世界で。











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