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第一章 第五話 アウトレイジ トイレ掃除篇(うそ)

ようやくバトルらしいバトルが描けた。あんまりバトル好きじゃないけど。バトクロス・バトルかっこいいよね(関係ない)

 俺の不幸ステータスが久々に発揮された。


「とってもかわいいですわ。ソーイチさん」

「プークスクス。完全に美少女じゃない」

「いい仕事紹介してあげようか?」


 どうやら俺は、メイベルさんの魔法で、巨乳美女になってしまったらしい。すね毛は綺麗に抜け、がっちりとした筋肉質だった脚は細くなり、ウエストもくびれて、胸が異様にふくらんででかくなり(何度か揉んでみたけど質感ヤッヴェ)、黒髪は艶やかに長く肩まで伸びた。鏡で見ると、顔も端正な美少女で、この俺衣笠壮一の面影はどこにもなくなった。


「一応あなたの高い身体能力はそのままなのですが……一応私たちも同行しますね」

「え、ええ……」


 メイベルさんの案。

 それは、完全なスパイ行為であった。

 TS(性転換)した俺がダグラスの元へ潜り込み、彼の犯行の証拠を入手し、憲兵に届け出てダグラスを逮捕させるというものだ。

 確かに俺は喧嘩は強いが、相手は魔法が使えるマフィア。それも大人数。

 そんな男共に捕まり、あんなことやこんなことをされると想像するとぞっとする。ザーメンの味なんざ味わいたくねえぜ。


 とはいえ、メイベルさんは何度も頭を下げたので、ミハルが焼いたリサリサイメージビデオDVDシリーズ全巻で手を打つことにした。


 


 朧月夜の夜。暗がりの街では、魔法で灯のついた街灯に照らされ、スーツを着た紳士やドレスに身をやつした淑女が連れだって歩いていた。

 俺とシロナも、露出度の高いドレスを着て、ガールズバーに向かっていた。


「本当にここにダグラスがいるんですか?」

「ええ。間違いないはずです。私以前ここに偵察しに行った経験があるんですが、リース品の観葉植物がライブ会場のものと全く同じでした。察するに、定期的にリース品を売りつけに、この店を利用しているに違いありません」

「こてこてのパターンだね。おら、綺麗どころ二人、とっとと行きな!」


 ミハルに背を押され、無理矢理入店させられた俺たち。

 天井には大きなシャンデリアが飾られ、大理石のフロアが広がる。


「おお、シロナじゃねえか。ん? 誰だ、そのかわいこちゃんは」


 ダグラスが葉巻を吸い、他の子分マフィア12名と一緒に、美少女を両脇に座らせて脚を組んで座っていた。

 ずいぶん景気がいいじゃねえか、おい。


「いつもお世話になってますわ、オーナー。こちらは……その……アイドル志望の子でして」

「ソーコと申します。よろしくお願いします!」


 誰だよソーコって。

 ダグラスはふんぞり返って。


「ふん、ちょっとこっちこい」


 おそるおそる近づく俺。そしてダグラスがでっぷり太った巨体を近づけてくるなり。

 俺の胸を鷲掴みにした。


「ちょっ……」

「ん? なんか文句あんのか?」

「いえ……」

「ボスはボディチェックなさってるんだ。我慢しろ」


 子分たちはそう言って、俺を嘲笑した。

 この野郎どもめ、水面下で何が起こってるかどうか知らないくせに。

 

 今俺はメモリークリスタルを握っている。このクリスタルには、いわゆるテープレコーダーみたいに、その場の状況を記録することができる。


「ちょっと後ろ向け」


 はいはい。どうせ尻触るんでしょ。

 もう勝手にしろ。


「おう、それはなんだ」


 え?

 コトリ、と音がした。


 シロナの馬鹿がクリスタルを落としたのだ。

 ダグラスはそれを特殊な拳銃で撃ち抜き、バラバラにした。


 青ざめる俺たち。


「ほう……この俺をこき下ろそうってのかい。上等じゃねぇか。野郎ども、ちょっと躾けてやろうぜ?」

「ヒョォ!」


 12人のマフィアが寄ってたかって俺とシロナを囲む。


「ったくめんどくせえ、俺とやり合うってのか? 上等だ!」


 俺はハイキックをマフィアにかまし、みぞおちをついて2人のマフィアを倒した。


「こいつ……ふふ、だがこれはどうかな?」


 青いスーツを着たマフィアが、怪しい手つきをした。すると。


「なっ……動けねえ……」


 青スーツは魔法をかけたらしい。そのせいで動けなくなった。


「ソーイチぃ、助けてぇ!」


 シロナはもうドレスを破かれ、下着一枚になっていた。

 くそっ……。

 すべてを諦めかけた、その時、


「そこまでだ!」


 憲兵5人とメイベルさんとミハルが駆けつけてきた。

 ダグラスは目を丸くしたが、


「憲兵さんよぉ、わざわざごくろうさん。しかしどんな案件でここに来たのかね?」

「その子は未成年です。未成年を入店させた時点でこのガールズバーのオーナーに公序良俗法が適用され、令状を憲兵さんに持ってこさせました」


 うわあメイベルさんマジイケメン。

 公序良俗法ってのは、恐らく風営法か青少年ナントカ育成条例というやつを差すのだろう。


「オーナー吐かせたところで俺たちは無関係だな。帰るぞ」

「いいえ、あなたたちも強制わいせつ罪が適用される可能性があるので、任意同行させていただきます。その壊れたクリスタルを修復すれば、あなたたちの悪行が明るみに出るでしょう」


 ダグラスは白煙を吐き、


「公安の方。取引しましょ。これ見逃してくれたら、うちらシマ引き上げますわ。麻薬密売ルートに手を加えてる連中のリストも渡します。それでしゃんしゃんにしませんか?」

「嫌だと言ったら?」


 ミハルがリボルバーを突き付けて言う。


「抗争だな!」


 ダグラスはチェーンソーを大量に召喚し、メイベルさんに向けて飛ばした。


「危ない!」


 俺が叫んだ、その一瞬――。


 メイベルさんは杖を横一文字に振り、ワイヤーのようなものを出現させた。

 するとそれはチェーンソーを束ね、無効化し、そしてもう一度杖を横に振ると、ダグラスのところまで飛んでいき、巻き付いて、彼を拘束した。


「ぐっ……この女、やっちまえ!!」


 すると今度はミハルがバッグから紙幣をばら撒いて、


「エクスチェンジ!!」


 と叫んで機関銃に変え、次から次へと子分を撃ち抜き、大理石の床を血に染めた。


「この国の法律だと、マフィア殺しても罪にならねぇんだよな?」

「ま、まあ……一応……」


 あっけにとられた憲兵が答える。


 そうしてダグラスはあっけなく連行され、マギカ・ギャングは壊滅。後にダグラスは最高法院で死刑の判決が下ることになる。無理やり加入させられた他のアイドル二人も、無事に解放された。




 そして、事務所──


「ちょ、ちょっと待って、なんで私がこんな目に……!?」

「い、いやシロナは分かるけど、なんで俺まで……!?」


 俺は女装されたまま、シロナと一緒に水着で懸垂台に両腕を拘束されてバンザイの状態でぶら下がっていた。


「まあいいじゃないの。そもそも今回の原因はシロナだし。ソーイチも、ジェム欲しいんだろう? 依頼人から120個もらえて、あたしから25個ももらえるんだからよかったじゃん」


 自分を売る、検索、ダメ、絶対。


「ごめんなさいソーイチさん、私も借金返済しなくちゃならないし……」


 ミハルはカメラをセットし、メイベルさんと一緒にふさふさの筆を持っていた。


「さあ、撮影開始だ、『新人アイドル、こちょこちょの刑30分耐久レース!』いくぞ!」


「「やめてええええ!!」」


 その夜、事務所ではにぎやかな笑い声が一晩中鳴り響いたという。


獲得ジェム 150個/500000000個


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