プロローグ
とんでもねぇ小説を開始いたしました。やりたい放題やるつもりなのでよろしくお願いいたします。感想・評価、お待ちしております。
俺は神が大っ嫌いだ。
イエスも大っ嫌いだ。
聖書なんて破り捨ててやる。
なんだ? 新約聖書も旧約聖書も、古紙回収じゃないとダメなのか?
なんでもいいから、俺に「不幸」というステータスを与えた存在を消し去ってやりたい。
俺は衣笠壮一。
17歳で、マフィアの幹部をやっており。
今、13回目の抗争に巻き込まれている。
「錦織!」
「き……衣笠、俺のことはかまうな、早く行け……」
クソッ……。
なんで13回も抗争に巻き込まれたのに、俺だけが生き残るんだ……。
「そこに男がいるぞ!」
俺たちはウォール街の中にいて、俺は廃墟の民家の中に隠れた。
トイレの中に逃げ込んで鞄に詰めた着替えを出し、着替える。
□◆□
俺は両親に捨てられ、孤児院で育ってきた。
ある日、街に出ていくとナイフを持った若い衆に囲まれた。
やれやれ、と、不幸がステータスの俺は、何度も喧嘩に巻き込まれるため、相当腕っぷしは強くなったらしい。なので、そいつらをこてんぱんにやっつけることができた。俺の不幸ステータス、甘くみんじゃねぇ!
しかしその闘いっぷりを見たマフィアが俺を見込んで構成員に入れ、とんとん拍子で幹部に。
しかし、他の幹部と俺とには決定的な違いがある。
それは、俺が童貞であるということ。
マフィアは女を騙してレイプすることなんて茶飯事なんだが。
恥ずかしながら、俺は真性包茎なのだ。
そのことを幹部連中に知られると一生笑いものにされるので、幹部や部下に、「お前らで楽しめ」といつもキザなふりして、家に帰って泣きながらAVで自慰しているのだった。
いや、包茎手術もしようとはしたよ? ただすごいヤブ医者で、ほぼ逝きかけました。おかげでそれでトラウマが原因で手術は今までしていない。
□◆□
13回目の抗争。死んでいく仲間を見るのは辛い。いっそこんな思いをするなら身を呈したいのだが、怖くてできない。
俺って奴は、全部不幸のせいにしやがって、ちくしょう。
ん?
足元に、何かが落ちていることに気づく。
「白い綺麗なベルトだ……ダイヤモンドが埋まっている……」
おっ? これ高く売れるんじゃね?
ためしにつけてみるか……。
いやいやいや、冷静になれ、俺のステータスは「不幸」だ。つけたら何が起こるか。
しかし……。
好奇心の方に軍配が上がり、俺はそのベルトを着けて着替えてトイレのドアを開けた。
ん?
目の前には、白い大理石の床が広がっており、何故か青空が広がっている。まるで空中庭園のようだ。円盤がいくつか浮かんでおり、橋で円盤と円盤が渡されている。
おかしい。
どこなんだ、ここは。
俺は廃墟の民家にいたのではなかったのか。
さらに目の前には、ひじょーに美しい羽衣を着た女性がいた。
彼女は俺を見るやいなや、ほほ笑んだ。
「ようこそ、天界へ」
てん……かい……?
俺、死んだのか?
ベルトを確認する。
どういうわけかちぎれていた。
女性は悲しそうな顔をして、
「衣笠、壮一さんですね。よくいらっしゃいました。私は天界の女神、ヴィーナスです。あなたは死んだわけではありませんが、あなたのベルトについている《ライトバハムート》が、あなたをここに導いたのでしょう。もっとも、壊れてしまったので、弁償していただかないと、あなたは現世に帰れません」
は?
これまさか、異世界転生?
いや、俺死んでないから正確には異世界転移ということになるのか?
ああいうのってヒキニートがするもんなんじゃねーのかよ?
なんで俺が?
いや待て、小説家になろうの読み過ぎだ。
「私たち天界は、現世不可侵条項というものがあるため、あなたのような迷い込んでしまった人たちを、私たち天使や神々が行き来する、《バハムートゲート》を介していくつもある現世に送りとどけねばなりません」
「そ、それじゃあ俺を元いた俺の現世に返してくださいよ。俺の世界に帰るバハムートゲートもあるでしょうに」
ヴィーナスさんは少し困った顔をして、
「残念ながら、何者かの仕業で最近次元のゆがみがもたらされていて、あなたの現世につながるバハムートゲートは故障したのです。どんどんバハムートゲートは駄目になっていき、そこで天界の学者たちが総力をあげて、あなたのそのライトバハムートという新しいゲートを用意したのですが……壊れてしまっては仕方ないですね。でもご安心ください。直す方法はございます」
「そ、それは……?」
ヴィーナスさんは円盤の上をすたすた歩きまわりながら、
「現世には、《ジェム》と呼ばれるすべてのマテリアルがあります。が、これは人工では作り出せません。そんなに珍しいものではないので、貨幣に換算しても一個30メルクリウス程度。あ、1メルクリウスで、コーヒー一杯が飲めるものだと思っていただいて結構です」
ということは、ジェム一個はマックコーヒーに換算したとすれば約3000円というところか。安いな。
俺は少し安心して尋ねた。
「それで、いくつのジェムを集めればいいんですか?」
「5億です」
は?
「5億個です。大事なことなので二回言いました」
「いや、ちょ、何年かかるかと思ってるんすか!!」
「大丈夫です。ジェムは前述したように、珍しいものではないのであらゆるところで売られていますし、地面を掘ると出てくることもまれにあります。ただ有限なので、早いもの勝ちですからお気をつけて」
唖然とする俺……。
マフィア稼業は曲がりなりにも俺の生きがいだ。
黒い金でも、大金が入ってくる。
それでクラブでおっぱいのでかいねーちゃんとB地区ゲームなどして遊んだり、うまい酒をシャンパンタワーで楽しんだり、高い服を着てナンパされて優越感に浸ったり……。
OMG!
「朝っぱらからなんなんです、ヴィーナス様。仕事終えてきましたよ」
突然現れた丸いゲートから、これまた美少女が現れる。白い髪を垂らし、同じ様に羽衣を纏い、羽根が生えている。うむ、EかFカップはありそうな、なかなかグラマーな体つきで、顔も俺の好みだ。気が強そうなところも好みではある。
「口をつつしみなさい。シロナ。私はこれでも大女神なんですよ」
「なーにが大女神ですか。現世から拾得したスマホにはまってソシャゲやりまくり、ジェムをたくさん売り飛ばして借金までして課金している女神さまはどこにいったのかしら」
「わーっ! わーっ!」
ヴィーナスさんは顔を真っ赤にしてじたばたした。
さすがに威厳を貶められるのが死ぬほど嫌なのだろう、哀れな女神様。このシロナという女天使の株も、俺の中で暴落した。
「あんた誰? 冴えない顔ね」
「うるせえ、悪かったな。はっきり言う。俺はあんたが嫌いだ」
「やあだ! 包茎クソ童貞に嫌いとか言われちゃった」
「ちょ、おま、どこでそれを……!」
シロナは胸を反らせ、
「私は叡智の熾天使、シロナ様よ! あんたのことはなんでも知ってるわ。不幸というステータスに苦しみ、小学校では女子のリコーダーを舐めた冤罪を着せられたこともあり、ジャンケンではいつも負け、孤児院ではいつもお菓子は一番最後の残りかすを集めて食べ、そして今」
「この実年齢2582歳のおばさん女神にたしなめられている、どこまでも不幸な17歳マフィア!」
おい……今、
めちゃくちゃヤヴァイこと口走ったんじゃねぇか?
シロナが背後を見ると。
ヴィーナスさんが、鬼の形相で、剣を持っていた。
「ちょ……じょ、冗談です、調子にのりすぎました。麗しいヴィーナス様。い、いいこと? 天界の神の平均年齢は5000歳なのよ? だからヴィーナス様はまだお若い方で……」
ヴィーナスさんはわなわな震え、ひきつった笑みを浮かべ、
「いいでしょう。シロナ。あなたの教育も兼ねて、壮一さんと一緒にジェム集めの労働を、女神の権限を持って任命します。いいですか。五億ジェム集めるまで、あなたは現世で活動なさい」
「そ……そんな、私次回で最終回のアニメがあるんです! ロランとギンガナムの対決が、次回どうなるかすごいわくわくしてるんですよ!」
「返事は、はいしか認めませんよ」
「は、はい……!」
お前が見てたのって、∀ガンダムかよ……古っ。
「どこに飛ばされても文句は言わないこと、それでは壮一さん、せいぜい頑張ってください」
「ちょ、待っ……」
ヴィーナスは剣を杖に変え、それを振りかざし、ゲートを開いてそこに俺とシロナを吸い込ませた。
「いやああああああ!」
「うわああああああ!」
こうして俺たちの冒険は始まった。
最初の最大の不幸は、このシロナとかいうポンコツ女と組まされたことだと、後々知ることになる。
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