くろねこさんといっしょにばとるかいしへん(黒猫さんと一緒にバトル開始編 あーついに始まったよー[棒読み])
「でも『変装』はさっき使ったので流石に一撃では無理だと思います」
うん、正直にさっさと白状しておかないと負けたら大変なことになる。
「ん?そうなのか。ならあのデカブツを頼む。俺が最初に魔術師と弓使いを潰すから問題無いよな?あれよりも君の方がAGIは高いし。あっ、『咆哮』だけは気をつけないと駄目か。うん、行きがけの駄賃に喉を潰しておけばOKだな」
作戦とも呼べない作戦を説明される。取り敢えず俺はゴリラのような騎士の相手をすれば良いらしい。
「黒猫さん、やっぱり止めましょうよ。彼等には僕から注意して二度とこんな事にならないようにしますから」
グラント君が此方に来て黒猫さんの説得を再度試みる。因みにこれで三度目だ。よし、今度こそ頑張れ!
「くどい。俺が此処で止める訳が無いのは理解出来るだろうグラント坊や。第一止めたら『ケットシー』と戦争になるけど良いのか?アイツらは各地でやり過ぎた。大陸外に居る俺の耳に届くようではどの道こうなってた筈だ」
こう言われて肩を落として幹部達の方に戻るグラント君。このヘタレ!もっと熱くなれよ!
「あ〜じゃあルールの説明をするぞ。勝負方法は2対5の変則PvP。ウチのバカ共の勝利条件はそちらのひよこ君のHP全損、そっちは5人全員のHPを全損で間違いないか?」
もう投げやりになっているバルト氏が審判のようだ。
「後、コッチは俺がやられたらケイ君はギブアップするからオーバーアタックさせるなよ」
「万が一、そのようなことになったら?」
「あ?それは勿論、商業ギルド加盟店全てが利用出来なくなると思え。後は戦争だな。ウチの同盟クラン全て敵になるからエインヘリヤルの時よりも徹底的に潰す」
バルト氏の顔が真っ青になっている。アカン、アレはマジや!マジでやるで黒猫はんは!
「何が何でも阻止するから絶対に止めてくれ!」
幹部達もメイン装備に着替え万が一すら起きないように身構えている。これで黒猫さんがもしもやられても俺は安全と言う事だな。
「じゃあ、双方準備は良いか?」
完全に諦めモードに入ったバルト氏が聞いてくる。
「何時でも良いぞ?」
黒猫さんが軽快なステップでシャドーをしながら言う。あの俺は良くないですよ~。黒猫さんの横で首を横に振る俺を当然のように無視して相手にも確認を取るバルト氏。おい、無視すんなよ!
「じゃあ、試合開始!」
合図と共に咆哮を使おうとする騎士だったが突如俺の横から吹き抜けた一陣の黒い風が通り過ぎた直後、
「コヒュッ」
喉を抑えのたうちまわる。どうやら黒猫さんが本当に行きがけの駄賃に喉を切り裂いて行ったらしい。俺は風の吹いた先、つまり黒猫さんの駆け抜けた目的地を見て絶句する。
目に映ったのは空高く跳ね上げられた魔術師の首を運悪くキャッチしてしまい驚いて尻もちをついてパニックになっている神官と右手の親指を失ってそこを抑えて絶叫する弓使い、それを悠然と見下ろす右手に肉切り包丁、左手に分厚い二枚の刃で構成された鋏を持つ黒いネコのぬいぐるみと言うなんともスプラッタな光景だった。
うん、コレはヤバい子供には見せられないよ。一応は年齢によって色々制限があったりグロ画像が駄目な人はぼかしが入るからいいけどこれはどこの殺人人形だよ!




