くらんけっとしー(なんだろうあの汚いぬいぐるみ?)
「ねぇぷち、ちゃんとお客様に説明は出来たの?また適当に連れて来た訳じゃ無いでしょうね。その人はヨルくんの紹介だから下手な事は出来ないって、その様子だとまたやったのね!」
奥から現れたのは白をベース所々に黒と茶のメッシュが入ったまるで三毛猫の様な人だ。ご丁寧に猫耳までついている。
「私の部下が大変ご迷惑をお掛けして誠に申し訳ありませんでしたケイ様。私はクラン『ケットシー』のミケと申します。それにこの度は私共が至らぬせいでチェックアウト直後に不快な思いをさせてしまい重ね重ね申し訳ありませんでした」
いや、取り敢えずは訳がわからんからその辺を聞いてみるか。
「ハァ、それで一体どういう状況なんですか?」
「どうやら店の前でクラン『未開調査団』のメンバーが張り込んでケイ様がログインしたことを上に報告したようですね。先日の一件でクランマスターの団長グラント様がケイ様に会いたいと言ったのが事の発端らしいです。ですがどうも上と下で認識が異なるらしく話がややこしくなってるようなので私共が仲裁致しますのでどうかご安心下さい。それだけでは不安だと思いましたので夜一様をお呼びしたのでケイ様が不利になる事はありません」
『未開調査団』?あぁ、あの変態二人組の件か。なるほど、つまりは御礼参りかと納得したところで
「ケイさん、無事ですか!」
そこに夜一くんが飛び込んで来る。その後、更に複数人の男女が入ってくる。
「にぃ、んんっ!兄に言われて即座に行動しましたので下位の阿呆には手は出させてはいません。」
「まぁそこのぷちが失礼したみたいだがな。
ちょっとミケ、起こしてくれ」
ミケさんの後に続いて男の声が聞こえる。その声に従い部屋に飾ってあった三匹の猫のぬいぐるみ、いや綺麗に飾られているには左右の三毛猫と白猫だけで真ん中の黒猫はそこらの埃を拭くのに使われた後に適当に置かれたといった感じだ。その中央の黒猫を優しく抱き上げてハンカチで埃を払い、部屋の中央にあるテーブルにそっと座らせる。
「ミケ、サンキューな。ん、何を驚いてるんだ御同輩?」
うわぁ、ぬ、ぬいぐるみがシャベッター!
「にぃ、普通の人、それもこのゲームを始めたばかりの人はぬいぐるみが喋ったら驚きますよ」
そうだよね!俺は普通だよね!
「それもそうか。この中で俺を知らないのは御同輩だけだから簡単に自己紹介させてもらうな。
俺はクラン『ケットシー』のクランマスターのクロ。まあ実質的なマスターは妹のミケとシロだけどな。
その証拠に見てみろよこの姿、ボロボロで汚ったないだろ?
そこに居るミケ信者のぷちが如何に俺の事が嫌いかよくわかる。
まあそれは置いておくとして、この姿はちょっとユニーククエストで大陸外に出てるからその為の通信装置だと思ってくれ。
さてとヨル坊達も来たことだし、ぷち公、『未開調査団』の幹部と当事者のみ連れてこい」
うっわぁ、嫌われるの知ってて言うんだ。
「どうして私が貴方の言うことなんかに従わないといけないの?」
「ぷち、いい加減にしないと…」
「お前、ミケに雑用させる気か?それでも良いならミケに行ってもらうが?」
「チッ、行けば良いんでしょ?行けば!」
嫌そうに出て行くぷちなる目隠し少女。一体どうなる?




