あくむふたたび(もう変態はお腹いっぱいですので遠慮してくれませんか?)
嫌々振り返ってみるとそこには白い全身鎧の男が立っていた。特徴的なのはヘルムの一角獣の角を模した飾りだろうか。なんか何処かで見たようなデザインだが、もしかして本気になったらその角が割れる事はないよね?
「我が名は『可能性の獣ろり魂』」
おい、色々な人に謝ってこい!
「イエスとノーの二人から話を聞きお主を我らが『幼くも眩しい生命の輝きを放つ者を愛でる会』に勧誘に来たのだが、一体、それはどういう事だ!」
ズビシッ!とエリーゼさんを指差す新たなる変態。
取り敢えず失礼だから指を差すのを止めろよ変態。エリーゼさんも困ってるだろうが!
こういう奴がいるからプレイヤーの品位がNPCに疑われてるんだよ。
「あの彼は何を言ってるのでしょう?」
コソッとエリーゼさんが話掛けて来たので
「いや、アレはさっき話した変態の仲間のようですから話す内容については無視した方が良いと思います」
小声で返すとエリーゼが頷く。
「では早く道具屋へ向かいましょう。すみませんが急いでいるので其処をどいてください」
あっ、無視すれば良いのに。
「お前には話掛けていないわババア!」
「バ、ババア?乙女の私に向かってババアですって!」
あっ、ヤバいぞコレ!エリーゼさんの雰囲気が母親に近いモノに変わってきてるー!
「ハッ、乙女と言うのであれば5才ほど若返ってこい行き遅れ!」
このアホー!テメェのせいでエリーゼさんの身体から紅いオーラのようなモノが迸ってるじゃないか!
そのせいなのか周囲の気温が下がった気がする。もしかしなくても周りから熱を奪って収束させてるんですか?
この大通りでかなりヤバめの魔法をぶっ放すつもりだ!
「ちょっとエリーゼさん、それは不味いですって!」
慌てて彼女の前に立ち塞がる。メリルちゃんも背負ってるから殺られる事は無いだろう。
「どいてください!あの淫獣は私がココで討伐します!」
「いやいやあの変態野郎を始末するのにそんなやばそうな魔法を撃ったら周囲まで消し飛んでしまいますから!
こんな時は………居た!
衛兵さーん!助けてくださーい!」
ちょうど良く通りがかった衛兵のエリックを見つけたので全力でこっちに呼ぶ。
「おや、君はさっきの渡り人様。一体、どうされたのですか?ん?道具屋の場所が分からなかったとは思いませんが、もしそうなら私が一緒に行きましょう」
「道具屋へはちゃんと着きました。その節はありがとうございました。
それで今はちょっと行き違いが合って神殿に飛ばされるトラブルが起きたのでもう一度道具屋へ向かってる最中なんですがまたさっきの変態の仲間とか言うヤツに絡まれて困ってるんです」
「何ですって!む、奴は衛兵の間で要注意人物として出回っているろりこ~んとかいう巫山戯たやから!」
「それにこちらの御嬢さんに暴言まで吐いてきました」
「此方の方は?」
エリックを近くに来るように呼び小声で
「此方はそのロマリア教会のパーツィヴァル侯爵閣下の御息女です。故あって知り合い道中を御一緒しているところなんですがあの変態のせいで大変ご立腹なんです」
「ぐ、焦土の魔女と凍土の剣聖の娘だって!
御嬢さん、後は此方できつーく処罰しておきますので、どうそお任せ下さい!」
おぅ、また物騒な異名を聞いてしまったぞ。何をやったらここまで怯えられるんだあの二人。そして、異名を聞いて申し訳なさが溢れてきたのかオーラを霧散させて俯いているエリーゼさん。
「取り敢えず、此処はこの国の衛兵さんにお任せして行きましょう」
こくりと頷くエリーゼさんを連れて道具屋へ向かうのであった。




