れっつすけるとん(割に合わねぇ〜)
「ん〜やっぱりスケルトンは割に合わないなぁ」
燻製が終わるまで交代で荒野のモンスターの1種類スケルトンを主目標として狩りを行っていたケイがポツリと呟く。
「やっぱりお肉を落とさないからですか?」
今回のペアの相手、パーシーがその呟きを拾って質問する。
「うーん、経験値も少ないし、動きが短調だから倒すのは楽だけどスキルも上がりにくい。何よりパーシーさんが言う通りお肉出なくてドロップがボロい武器でのって言うのがキツいね。今はアリーさんだけでなく俺達も装いをチェンジしながらだから燃費も効率も落ちてるからね」
どうも『装い』の変装は大なり小なりの空腹値の変動が伴うらしい。これに気付くのが此処まで遅れたのにはケイが紙装甲を理由に極力戦闘を避けていたり、逃げるのに空腹値の増加がノーマルより小さくなる『虚雀の装い』を好んで使っていたので気付くのが遅れたのだ。気付いたキッカケは勿論アリーの『紅蜥蜴の装い』である。現時点で戦闘力が通常の1.5倍、炎を纏えばその2倍の通常の3倍に匹敵するハイパーモードであるが空腹値増加も同じだけ増える超短期決戦用の装いと化しているがどうやらこれでもまだ弱体化していてこの装いの本来の姿『火竜の装い』の半分にも満たない様だ。それにこんなにも燃費は悪くないらしい。
調べていくうちに体格の大きな獣の方が増加が大きく、同じような体格でも使用頻度の高い装いの方が空腹値の増加が小さい事を発見したので今はガンガン変装を使って戦闘を繰り返しているのだった。つまり、スケルトンではザコ過ぎる上になんの旨みも無いがそれ以外を狩るには戦闘力の高い変装を長時間使ってしまうので効率が悪い。荒野とはケイ達にとってはあまり良い狩場では無い。かと言って森の方ではパーシー以外のメンバーでは既にレベル帯を外しているので食料以外の価値が薄い。仕方が無いのでスケルトンの魔石(便利アイテムの燃料に出来る)のドロップ狙いで狩ってるのだが
「いや本当にケイさんと来ると魔石が大量にドロップしますね」
ケイがパーティに居ないと著しくドロップしないし、ドロップが汚れた布切れだの謎の骨だのと言ったゴミドロップばかりだった。
「だからと言って俺がずっとこっちなのはさ、少ししんどいんだけどね。あ。魔剣をドロップした。コレで5本目だぜ?コレじゃなくて魔石を寄越せよ」
荒野のレアモンスター、アンデットナイトの超レアドロップ『魔剣ブラック』は普通なら次の狩場、帝国領内でも使える品なのだがケイ達にとってはあまり良い物とは言えないのであった。
「それどうします?売るには少し能力が中途半端ですよね?レアリティが高いけど能力としては中堅プレイヤーが使うのもちょっと物足りない。でも初心者には買えないくらい高い。困りものですね」
「なら鍛冶にも手を出しちゃう?それとも鍛冶の出来る人を仲間にする?」
「うーん、どうしましょうか?そこはケイさんにお任せします」
などと言いながら気長に狩りをするケイとパーシーの男組であった。




